2001 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫の植物性に関する分裂装置からの細胞科学的解析
Project/Area Number |
12874111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒岩 常祥 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50033353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 晴子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50313200)
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Keywords | Toxoplasma gondii / Plastid-devidingリング / Apicomplexan plastid / cap structure / copy number / mucleoids |
Research Abstract |
アピコンプレクサ類の色素体をアピコプラストと呼んでいる。これは、これは光合成をおこなわない、そして二次共生によって誕生し、ほとんどのアピコンプレクサ属に見られる色素体である。この色素体は、寄生性の生物の生存に必須であるが、その機能、活性そして構造は明らかでない。ここではトキソプラズマ(Toxolasma asma gondii)のアピコプラスト核(核様体)を高分解能の蛍光顕微鏡法と電子顕微鏡法を使って形態的な視点から調べた。その結果、沢山のDNAがアピコプラスト核の中に含まれていることが分かった。更に、色素体の分裂に関係している構造も発見された。 まず、DAPIでオルガネラの核を同定した。アピコプラストは1個の核を含んでおり、ミトコンドリアの核とは、大きさとDNA量で容易に区別できた。VIMPICSを用いてアピコプラストのDNA量を正確に測定した結果、DNAのコピー数は少なくとも25は含まれていた。これは以前に、分子生物学的方法により報告されてよりも4倍も多い。マラリア原虫のアピコプラストも同様に多くのDNAを含んでいた。アピコプラストの核は、細胞核分裂の前に、正確に二つの娘アピコプラストに分配された。次に電子顕微鏡を使ってアピコプラストの分裂を詳しく調べた。アピコプラスト内に核が細菌のように隔離されて独立して存在するかどうかを調べたが、アピコプラストのDNAはアピコプラスト全体に詰め込まれていた。次にアピコプラストの分裂を観察したが、分裂中のアピコプラストの両端にキャップ様の構造が観察された。更に分裂部分に色素体分裂(PD)リング様の構造が観察された。また分裂のくびれ部分には、マイクロボデイ様の構造が付着していた。こうしたことから、二次共生して出来たアピコプラストも色素体分裂装置を使って分裂・増殖している可能性が高い。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Matsuzaki, M., et al.: "Large amounts of apicoplast nucleoid DNA and its segregation in Toxoplasma gondii"Protoplasma. 218. 180-191 (2001)
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[Publications] Miyagishima, S., etal.: "Novel filament 5nm in diameter constitule the cytosolic ring of the plastid division apparatus"Plant cell. 13. 707-721 (2001)
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[Publications] Higashiyama, T. et al.: "Pollen tube attraction by the synergid cell"Science. 293. 1480-1483 (2001)
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[Publications] Takano, H., et al.: "The complete DNA sequence of the mitochondrial genome of Physarum polycephalum"Mol. Gen. Gen.. 264. 539-545 (2001)
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[Publications] Kuroiwa, T., et al.: "Inheritance of cytoplasmic traits-embryological perspectives"Kluwer Academic Publisher. 509-523 (2001)