2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12875052
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊東 明俊 東京電機大学, 工学部, 教授 (50211743)
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Keywords | 原生生物 / 生物対流 / 行動制御 / マイクロマシン / マイクロマニピュレータ / インテリジェントアクチュエータ / 群ロボット / 形をもたない機械 |
Research Abstract |
本研究は,原生生物などの微生物を高密度に培養すると自律的に発生する生物対流について,原生生物が持つ走性を利用してその流れを制御し,工学的に利用することを目的とする. 昨年度までの実験の結果,プールの底面に陽極を,上面に陰極アレイを設置したプールで一本の陰極に印加すると,印加直流電位勾配が0.12V/mm以上になると,印加電極の下部に下降流を発生・移動できることが明らかになった. また,電極アレイのピッチを微細化・最適化し,ガウス分布に基づき複数電極に印加することにより,電極間の隙間を含む電極アレイ上の任意の位置に下降流位置を自在に誘導制御する方法を開発した. これを利用して,画像処理による下降流位置検出・フィードバックしながら制御した下降流により,全長10mmの小型シーソーを自動的に往復動させることに成功した.1周期は約150sであった.これは,生きたマイクロ群ロボットにより,上位レベルの秩序を生成し,より大きな機械の駆動に利用した,初の成功例であると考えている. 以上の結果をもとに,今年度は,生物対流の上昇流の制御方法を検討した. 下降流の制御とは逆に底面に電極アレイを並べ,+電位をガウス分布状に印加したところ,生物対流の生成に参加せず,底面付近に滞留しているテトラヒメナが印加電極近傍から逃げ出し,印加電極近傍のテトラヒメナの数密度が低下し,溶液密度が低くなることから,上昇流を発生させることが可能なことを実験的に確認した. これを利用して,下降流と同様の方法で上昇流の位置制御を行ったが,上昇流は下降流に比べて弱い流れのため,自然発生した生物対流の下降流が存在する位置では,上昇流は下降流に流れの位置を乱される.よって,上昇流の位置制御は,下降流の位置を制御した上で補助的に利用すべきである.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 伊東明俊, 樋田英紀, 早乙女康典: "生物対流の制御とその機械的利用(第1報:電場による対流制御の基礎特性)"日本機械学会論文集 B編, P2449-2454. 67巻662号. 2449-2454 (2001)
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[Publications] Akitoshi Itoh, Hideki Toida: "Control of Bioconvection and Its Mechanical Application"IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics AIM'01. 1220-1225 (2001)
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[Publications] 河口隆之, 伊東明俊, 豊田洋二: "生物対流の制御とその機械への応用 (第4報:電場による上昇流の発生と位置制御)"日本機械学会第14回バイオエンジニアリング学術講演会. 317-318 (2002)