2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12875089
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小葉竹 重機 群馬大学, 工学部, 教授 (00027260)
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Keywords | 里山 / 放置森林 / 水循環 / 水質 / 窒素飽和 |
Research Abstract |
里山を「手入れのされた森林」と定義し、里山と手入れのされていない森林(放置森林)との間で、水循環あるいは水質に違いがあるかどうかを明らかにすることを目的としている。放置森林として、ゴルフ場予定地がそのまま放置されている太田市菅塩地区の45.2haの雑木林を選定し、手入れのされた森林として、桐生市「自然観察の森」(21.5ha)を選定している。研究2年目に当たる今年度も両流域において定期的に採水し水質の測定を行った。採水は菅塩地区で1地点、自然観察の森では4地点で行っている。分析要素はアンモニア態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素の3要素である。また、今年度から新たに定点観測点として群馬県西部の吉井町(鏑川水系)と箕郷町(榛名山麓)を加え、さらに、不定期であるが群馬県東部の渡良瀬川の6支川、10地点でも採水を行った。分析項目はいずれも前記3項目である。これらの分析結果から以下のことが明らかになった。(1)定点観測点である群馬県東部の菅塩、自然観察の森では硝酸態窒素濃度は降雨イベントに追随し、降雨の後では濃度が高くなる。(2)自然観察の森では枝打ち等の森林管理のために人が入ると、硝酸態窒素濃度は高くなる。(3)これに対して西部の吉井町、箕郷町では1年を通じて硝酸態窒素濃度が高く(2〜3ppm)、降雨があっても濃度に大きな変化はない。(4)県東部と西部での前記の相違は首都圏で発生したNOxが風で輸送されてくる経路に関係し、風の通り道となる西部で乾性沈着が大きいことによるものと考えられる。(5)したがって、西部では窒素飽和になっている可能性がある。(6)ただし、土壌水の窒素濃度鉛直分布からは窒素飽和を結論できるような結果は得られなかった。(7)流域内の樹種による渓流水硝酸態窒素濃度には相違が認められるものの、里山と放置森林の間では相違は認められなかった。
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