2000 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ分光技術を活用した建築構造物変質過程の遠隔モニタリング手法
Project/Area Number |
12875096
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
斉藤 保典 信州大学, 工学部, 助教授 (40135166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 琢也 信州大学, 工学部, 助手 (40273073)
野村 彰夫 信州大学, 工学部, 教授 (00115362)
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Keywords | 建築構造物 / 成分変質 / コンクリート / 酸性雨 / レーザ分光 / レーザ誘起蛍光 / 遠隔モニタリング |
Research Abstract |
平成12年度の研究課題は"レーザ分光モニタリングシステムの要素技術開発"であった。得られた主な成果は次の通りである。 1)分光計測実験システムの製作:分光手法の一つであるレーザ誘起蛍光手法を採用した。そのための実験システムとして、パルスヤグレーザ(355nm)を光源、検出にはグレーティングからの広範囲な波長分散スペクトルをリニアイメージセンサで(グレーティング掃引せずに)同時に検出可能な構成とした。また入力系には光ファイバを用いて簡便性を持たせた。試料に植物生葉を用いた予備実験結果では、355nm〜800nmまでの広範囲な領域に渡る蛍光スペクトルの取得が得られた。 2)酸性雨シミュレーション実験:特に地球環境悪化に伴う建築構造物変質を探ることに重点をおいて、製作したシステムによる、酸性雨によるコンクリート片の変質過程のモニタリングを検討した。市販のコンクリート片(縦60mmx横100mmx幅60mm)の表面に硫酸あるいは硝酸溶液を5滴ずつ与え(濃度は各溶液とも3段階)、日数経過とレーザ誘起蛍光スペクトルの変化を追跡計測した。その結果、コンクリート蛍光スペクトルは450nm付近にピーク値を持ち360nm〜750nmの広い範囲に渡って蛍光スペクトルを有すること、日数変化と共に蛍光強度が減少すること等が確かめられた。 3)標準蛍光スペクトル計測:コンクリートに含まれる主成分(5種類)の標準試料について蛍光スペクトルを計測し、各試料ごとの蛍光スペクトルを標準化した。 以上の結果より、本手法で建築構造物物質変質過程のモニタリングの可能性が示された。平成13年度には遠隔モニタリングへと発展させる予定である。
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