2001 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ分光技術を活用した建築構造物変質過程の遠隔モニタリング手法
Project/Area Number |
12875096
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
斉藤 保典 信州大学, 工学部, 助教授 (40135166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 彰夫 信州大学, 工学部, 教授 (00115362)
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Keywords | 建築構造物 / 成分変質 / レーザ分光 / 光大気伝搬 / 光散乱 / ライダー / 遠隔モニタリング |
Research Abstract |
平成13年度では"遠隔レーザ分光モニタリングの有効性実験"を課題として設定した。当初の研究計画では、平成13年度に"酸性雨シミュレーション実験"が組まれていたが、予想以上に実験が進み、当課題は平成12年度におおかたの結果を得ることができた。そのため、平成13年度の小課題として"レーザ光大気伝播・散乱光受信実験"が重点的に実施された。主な成果は次の通りである。 1)掃引型可視光ライダーシステムの製作とレーザ光大気伝搬・散乱光受信実験 建築構造物を対象とする遠隔モニタリングの基礎実験を行った。ライダーシステムを製作し、全体を三次元的に空間掃引することで、測定対象物からの三次元(または二次元)光情報を得るためのものである。実験では、建築構造物よりも散乱光受信が困難な、大気エアロゾル(微粒子)を測定対象に選んだ。その結果、システムから3.2km離れた焼却炉排煙の拡散状況を、三次元マッピング画像として捕らえることができた。この結果は、より反射・散乱係数の大きな建築構造物からの信号受信については、さらに高SN比での検出が可能であることを示すものである。 2)近赤外光アイセーフライダーシステムの製作と近赤外レーザ光大気伝播・散乱光受信実験 市街域にある建築構造物を対象として、より安全性の高い波長1.54ミクロンの近赤外アイセーフレーザを新たに製作して用いた。約1km離れたビル壁面から散乱された光信号の受信に成功した。同時にレーザの大気伝搬により生じる、大気エアロゾルからの散乱光信号の受信も可能であった。このことは本方式により、硝酸性エアロゾル等の建築材変質原因物質濃度と変質過程を関連付けた検討が可能であることを意味する。 以上、"レーザ分光技術を活用した建築構造物変質過程の遠隔モニタリング法"について、十分な基礎結果が得られた。今後は、より応用方面へと研究を発展させていく予定である。
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