2001 Fiscal Year Annual Research Report
中学校における生徒の集団形成と空間行動に関する研究-教科教室型・特別教室型での居場所と集団圧力との関連-
Project/Area Number |
12875109
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西村 伸也 新潟大学, 工学部, 教授 (50180641)
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Keywords | 中学校 / 居場所 / 教科教室型 / ホームベース / 集団 / 個人 / 圧力 / 空間行動 |
Research Abstract |
本研究は、生徒の空間行動の観察調査とアンケートから、学校環境の様態を実証的に把捉するものである。個人と集団の居場所選択と空間行動という観点から、既存の学校空間がもっている場所(ホームベース・フリースペース・メディアスペース・教室・トイレ・廊下等)に注目して、観察調査を行った上で、生徒個人が集団とコンフリクトを回避できるような空間システムを提案することが目的である。特に、生徒の不安定な集団帰属・個人の行動を調査して、建築環境や空間行動の一部がもっている個人が集団と折り合いをつける機能を、実証的に把握するものである。集団帰属が不安定な生徒にとっても居場所となる空間のシステムとして機能する建築環境の提案は、中学校ばかりではなく、小・高等学校にも共有される新たな計画的知見を提示できるものと考えている。平成13年度は、福光町立吉江中学校(富山県)・滑川市立滑川中学校(富山県)・千葉市立打瀬中学校(千葉県)・港区立六本木中学校(東京都)・聖籠町立聖籠中学校(新潟県)の5校について、複数回の観察調査・アンケート調査を行った。生徒が個人でいるときと集団でいるときの居場所、先生との接触の場所と機会、教室間を移動するときの休憩場所、等を中心にデータの収集を行った。その結果、現時点では以下の知見を得ている。1.HBのテーブルは特定の生徒集団に占有されることが多い。特に、この傾向は、女子生徒の集団に多く見られる。2.個人の居場所は、集団の居場所と同様に、HB・FS・図書室・体育館となっている。しかし、ベランダ・廊下・数学教室・共通学習室・音楽室・技術室・レッスン室・保健室・トイレ・更衣室等の様々な場所に分散していることが特徴である。3.観察調査の結果、CLは、アンケート調査では出ていない居場所としての利用が多く見られる。HBとCLとの間で、集団・個人の居場所がバランスをとりながら、選択されていると考えられる。
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