2000 Fiscal Year Annual Research Report
層状ペロブスカイト型化合物における多形形成の原理とその工学的応用
Project/Area Number |
12875120
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石澤 伸夫 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (90151365)
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Keywords | 層状ペロブスカイト / 結晶化学 / 放射光X線回折 / 多形 / 電子密度分布 / イオン交換 / 高イオン導電性 |
Research Abstract |
層状ペロブスカイト型構造をとる物質群は、超電導、イオン電導、ホールバーニング特性、高周波誘電性等に特異な物性を示すものが多い。本研究の目的は、このような層状化合物に関する電子密度分布を中心とした結晶学的研究を行い、層状ペロブスカイトの多形形成の原理を明らかにし、これをA-B-M-O系(A:アルカリ金属、B:アルカリ土類金属、M:NbまたはTa)のモデル層状構造に適用し、新しい高イオン導電性を示す物質を探索することにある。今年度は、LiCa_2Nb_3O_<10>、LiCa_2Ta_3O_<10>、RbCa_2Nb_3O_<10>、RbCa_2Ta_3O_<10>酸化物単結晶をフラックス法によって育成した。イメージプレート単結晶回折計を用いて、これらはNbO_6またはTaO_6八面体3個分の厚さをもつペロブスカイト層が積層した構造であることがわかった。また、LiCa_2Nb_3O_<10>については、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の放射光実験施設ビームライン14Aにおいて、放射光を利用した回折データの収集を行った。その結果、理想構造からわずかに歪んだこの結晶構造の詳細を決定し、積層様式、層間イオンの位置と占有率、層内イオンの席占有率、配位八面体の回転と歪みを解明することができた。この系で、単斜晶系の構造が明らかにされたのははじめてである。層間に入るアルカリ金属イオンの大きさに依存して、これら3層のペロブスカイト関連化合物は積層様式が系統的に変化することを明らかにした。また、RbCa_2Nb_3O_<10>とRbCa_2Ta_3O_<10>については、酸処理を施すことによりRbが容易にHにイオン交換されることを見出した。また、最も薄いペロブスカイト層をもつCaYAlO_4の電子密度分布を精密に求めた。
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Research Products
(1 results)