2002 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌によるリグニン関連芳香族化合物の代謝及び微生物変換に関する基礎研究
Project/Area Number |
12875159
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
西村 基弘 宇部工業高等専門学校, 物資工学科, 助教授 (30259931)
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Keywords | バニリン酸脱メチル化酵素 / 放線菌 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本年度は、低分子リグニン資化性放線菌NL15-2K株の染色体DNAより得たバニリン酸脱メチル化酵素(VDM)遺伝子について、以下の項目を実施した。 1.放線菌宿主Streptmyces lividans 1326における当該遺伝子の発現とノーザン解析 2.当該遺伝子産物の基質特異性について 1については、始めにVDM遺伝子を含む4.3kb断片を、あらかじめmelプロモーターを除去したプリスミドベクターplJ702にサブクローニングし形質転換体VDM01を得た。ついで、このクローンを、バニリン酸を唯一の炭素源とする培地にて培養後、酵素活性の検出と並行してtotal RNAを調製し、ノーザン解析を行った。VDM-mRNAを検出するためのプローブは、VDMに共通する鉄-硫黄結合ドメインに対するオリゴヌクレオチドを使用した。その結果、本クローンよりVDM活性の発現を確認するとともに、約3.7kbの位置にプローブとハイブリダイズするRNAを検出した。このことから、VDM01における本遺伝子の発現には同断片に含まれる独自のプロモータが利用されることが確認された。また、放線菌由来のVDMも他のVDMと同様に二つの遺伝子産物VanA及びVanBによって構成される可能性が示唆された。 2については、当初VDM01の無細胞抽出液を用いて調べることを試みたが、in vitroの条件下ではVDM活性が得られなかったため、hole cellsを用いて基質特異性を調べた。その結果、ベラトルム酸、バニリン酸及びイソバニリン酸に対しては脱メチル化活性が認められたが、グアヤコールについては基質として認識しないことが判明した。今後は、引き続きVDM01のcell free系での活性検出を可能にするための検討を行うとともに、その抽出液からのVDM酵素の単離を試みる。
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