2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体触媒によるプラスティックのリサイクル手法の開拓
Project/Area Number |
12875180
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 四郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大前 仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (50300801)
宇山 浩 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70203594)
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Keywords | 酵素触媒重合 / リパーゼ / ポリエステル / ケミカルリサイクル / ポリエステル / グリーンポリマーケミストリー |
Research Abstract |
酵素触媒重合は、酵素のもつ穏和な反応条件下での高活性触媒作用(省エネルギー)、酵素触媒の無毒性、有効利用の望まれている植物由来天然資源の出発物質としての活用、生成ポリマーの高い生分解性といった点で環境に対する負荷を大きく低減できるといった特徴を有している。酵素触媒重合は自然界の物質循環に組み込まれるプロセスであるため、グリーンポリマーケミストリーへの多大な貢献が期待される。 本研究では酵素触媒重合を汎用プラスティックのケミカルリサイクルへ拡張した。脂肪族ポリエステルの多くは水中でのリパーゼ触媒作用による分解を受ける。一方、リパーゼ触媒は有機溶媒中では多くの場合にポリエステル合成の触媒として作用するが、反応条件を選ぶことにより分解を起こさせることを見出した。高分子量ポリ(ε-カプロラクトン)はトルエン中でCandida antarctica由来の固定化リパーゼ(リパーゼCA)により加水分解し、分子量数百のオリゴマーに変換された。そこで、溶媒を減圧下留去し、残ったオリゴマーと酵素をそのまま加熱するとポリマーが再合成された。同様の操作は繰り返し行うことができた。この結果から酵素触媒を用い、溶媒の有無といった極めて簡単な条件設定により重合・分解を制御できるという新概念に基づく高分子材料の新規リサイクル手法を提案した。 次に分解挙動を詳細に検討した。いくつかの市販品リパーゼでも分解が進行したが、リパーゼCAが最も分解活性が高かった。分解物の構造は系中に含まれる含水量に依存し、無水条件では主に環状オリゴマーの生成が認められた。また、種々の脂肪族ポリエステルの分解を検討し、ポリマーの構造と分解挙動の相関を明らかにした。
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