2000 Fiscal Year Annual Research Report
気-水界面での酵素触媒重合により調製したポリアニリン薄膜の構造と物性
Project/Area Number |
12875189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高原 淳 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (20163305)
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Keywords | ポリアニリン / 超薄膜 / イオン対相互作用 / その場合成 |
Research Abstract |
ナノデバイスの薄膜材料として、ポリアニリン(PANI)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)複合超薄膜は有用な材料である。本研究では、新規な薄膜調製法としてアミノシラングラフトSi基板とPSS間の静電的相互作用を利用したPANI/PSS複合超薄膜のin-situ合成法を提案し、合成したPANI/PSS複合超薄膜の組成、及び形成条件について評価した。3-(2-アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン(AADMS)グラフトSi基板表面とn-オクタデシルトリエトキシシラン(OTES)グラフトSi基板表面にPSSを吸着させた。次に、試料基板をPSS/アニリン混合水溶液に浸漬し、基板に固定化したPSSとアニリンの間にイオン対を形成させ、PSSを鋳型分子としたPANIの酸化重合によりPANI/PSS複合超薄膜をin-situ合成した。PANI/PSS複合超薄膜の組成は、X線光電子分光(XPS)測定に決定した。異なる基板表面でのPANI/PSS複合超薄膜の特性評価は、(飛行時間二次イオン質量分析)TOF-SIMS測定、XPS測定、原子間力顕微鏡(AFM)観察及び紫外-可視-近赤外(UV-Vis-near IR)吸収スペクトル測定に基づいて行った。 TOF-SIMS測定により、PANI/PSS複合超薄膜の形成を確認した。XPSスペクトル測定により求められた(窒素/炭素)存在比、及び(C-C/C-N/C-S)結合比と、PANIとPSSの化学構造から計算された値を比較することにより、超薄膜の組成はPANI/PSS=2:1と評価された。また、XPS測定及びAADMSグラフト基板上におけるPANIのポーラロンバンドに起因するI=800nm付近の吸収の増大より、OTESグラフトSi基板に比べて、AADMSグラフトSi基板上においてPANIの高いプロトン化率を有することが明らかになった。PANIのプロトン化率の高さ、及びポーラロンバンドに起因する吸収の増大は、超薄膜中における共役系の長さの増大を示唆している。更に、AFM観察より、AADMSグラフトSi基板上では膜厚が約17nm程度の均一なPANI/PSS複合超薄膜が形成されていることが確認された。一方、OTESグラフトSi基板上では、粒状に凝集した不均一な表面を有する薄膜を形成した。これらの違いは正に帯電したAADMSグラフトSi基板表面の方が、ポリアニオンであるPSSを選択的に固定化し、PANI/PSS超薄膜の形成を促進しているために生じたものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Koga,H.Otsuka,A.Takahara: "In-Situ Formation of Self-Assembled Polyaniline/Poly (Styrenesulfonic Acid) Composite Thin Films on Aminosilane Grafted Surfaces"Trans.Mater.Res.Soc.,Japan. 21. (2001)