Research Abstract |
本年度は、全国各地から採取した土壌についてその超微量元素含量(HNO_3/HClO_4/HF分解)とその存在形態について検討を行った。供試した土壌は、土壌のタイプが異なるが元素組成が比較的似ている宮城県からの5土壌と、元素組成が大きく異なると予想された全国各地からの6土壌の合計11土壌である。検討した存在形態は、酸可溶(0.1NHNO_3可溶)成分および交換態(1M NH_4NO_3抽出)成分である。測定には高分解能ICP-MSを用いた。 各超微量元素の平均含量(mg/kg)は以下の通りであった。Rb(59.3),Sr(147.3),Y(16.9),Zr(58),Nb(7.2),Mo(1.3),Ag(0.3),Cd(0.4),Sb(0.9),Cs(4.7),Ba(424),La(20),Ce(43),Pr(4.8),Nd(18.7),Sm(3.9),Eu(1.1),Gd(3.9),Tb(0.6),Dy(3.3),Ho(0.7),Er(1.9),Tm(0.3),Yb(1.8),Lu(0.3),Hf(1.9),Ta(0.6),W(1.5),Tl(0.6),Pb(25.3),Bi(0.3),Th(6.7),U(2.5)。 各元素の土壌全量対する酸可溶割合を検討したところ、酸可溶割合が高い元素は、Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luの希土類元素、およびCd,Uであり、これらは概ね10%程度が酸可溶であった。逆に低い元素は、Zr,Nb,Ag,Thなどであり、これらの可溶割合は1%かそれ以下であった。 各元素の土壌全量に対する交換態の割合を検討したところ、交換態の割合が高い元素は、SrとBaで10%程度が交換態であった。また、Rb,Cd,Cd,Tlでその割合は1%〜5%程度であり、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は交換態の割合が高かった。NbおよびThは交換態の割合が低く、0.001%以下であった。
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