2000 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロインジェクション法を用いた樹木木部細胞における細胞骨格の動的解析
Project/Area Number |
12876037
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船田 良 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192734)
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Keywords | 細胞骨格 / 微小管 / マイクロインジェクション / 細胞分裂 / 細胞形態 / 共焦点レーザ走査顕微鏡 |
Research Abstract |
細胞骨格は、細胞の分裂面や細胞の形態の決定に重要な役割を担っていると考えられている。そこで本研究では、細胞骨格の動的な解析を行うためのマイクロインジェクション法と共焦点レーザ走査顕微鏡法を組み合わせた方法の確立を第一の目標とした。マイクロインジェクションとは、先端径が微小なキャピラリーに目的物を詰めて、細胞に注入することである。細胞内への注入には、汎用型のマイクロインジェクターを用いた。先端の直径を0.5μm以下に加工した微小なガラス製の針状キャピラリーを取り付け、蛍光標識した微小管の構成タンパク質であるチューブリンを注入した。蛍光標識化合物は、緩衝液に融解して用いた。方法の確立を行うために、植物試料として異なる厚さをもつ樹木の葉を用いた。試料をスライドグラス上に置き、顕微鏡下で蛍光標識化合物を入れたキャピラリーを挿入し、圧力をかけて蛍光標識化合物を細胞内に注入した。注入約20分後、切片を共焦点レーザ走査顕微鏡により観察したところ、蛍光標識化合物を注入した植物体内部の蛍光像が得られた。蛍光標識化合物は、柔細胞だけでなく葉脈にも取り込まれていた。走査後、使用した試料から注入部を含む横断面切片を作成し、蛍光標識化合物の注入位置を特定した。今後、特定の細胞のみに注入できる方法を確立する必要がある。平成13年度は、本年度に確立した方法を用い、植物ホルモン供与や重力刺激を行った植物樹幹試料における細胞骨格の動的変化を追跡し、細胞分裂や細胞分化における細胞骨格の役割を明らかにする。また、微小管とともにアクチン・フィラメントを解析する予定である。
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Research Products
(1 results)