2001 Fiscal Year Annual Research Report
シズクガイをモデルにしたベントス個体群動態解析への分子遺伝学的手法の適用
Project/Area Number |
12876044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 勇夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (70026540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 正博 京都大学, 農学研究科, 助手 (30160196)
豊原 治彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90183079)
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Keywords | シズクガイ / ベントス / 二枚貝 / 幼生 / PCR / HaeIII / RILP / 遺伝子 |
Research Abstract |
1.舞鶴湾内での二枚貝浮遊幼生の出現状況 二枚貝浮遊幼生の出現状況を明らかにするために,湾内に設定した定点において,定期的に採集を行った.4月に採水量200リットルあたり10,000個体を超える幼生の出現がみられ,以後急減して数百個体のレベルで推移したが,その間ほぼ2,3ヶ月の間隔で1,000〜2,000個体レベルのピークが問歌的にみられた. 2.浮遊幼生の種判別のためのPCR/RFLP法の確立 幼生1個体から安定して遺伝子解析に必要なPCR増幅産物を得る目的で,試料調製法,酵素,反応条件などを検討し,90%以上の確率で28Sリボゾーム領域の増幅が可能な手法を確立した.約830bpの増幅産物をHaeIIIで切断したところ,本研究で対象としたシズクガイでは,約300bp付近に2本,150bp付近と120bp付近に各1本ずつの分解断片を認めた.この方法を用いて,シズクガイのみならず種々の二枚貝幼生の種同定も可能であることがわかった. 3.舞鶴湾定点におけるシズクガイ浮遊幼生の出現結果 平成13年7月から平成14年2月にわたり約1〜2ヶ月間隔で,上記の定点において,上述のPCR/RFLPを用いてシズクガイ浮遊幼生の出現状況を調べた.その結果,7月から11月末まではシズクガイ幼生はほとんど検出されなかったが,12月末には分析に供した全幼生のうち21%,2月初旬には96%,2月末にはすべてがシズクガイ幼生であった. 4.結論 本研究で確立した28Sリボゾーム領域をマーカーとしたPCR/RFLP法を適用することにより,二枚貝幼生のみならず,他のベントス幼生の種判別が可能であることが明らかとなった.この方法を用いることにより,当該海域のベントス幼生の初期の生態に関する知見を得ることが期待できる.
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