2000 Fiscal Year Annual Research Report
受精卵における外来ミトコンドリア絶減の原因究明に関する研究
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12876059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
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Keywords | 受精卵 / マウス / ミトコンドリア / 初期胚 / 受精 |
Research Abstract |
本研究の目的は、受精卵細胞質には特異的な性質があり外来のミトコンドリアを消滅させる機構が備わっているが、その機構を明らかにするものである。そして、本研究の実施開始直前にこの機構について重要な示唆を与える結果が公表されため、研究戦略に若干の修正を加えた。すなわち、受精後の精子ミトコンドリアの消滅は、ミトコンドリアを構成する蛋白質がユビキチン化されることが主な原因であるという仮説である。そこで、本研究ではこの仮説の上に立ち、実際に受精後の胚の細胞質にどのような変化が起こってこの様な機構が働き出すのか、そして、ミトコンドリアのどの蛋白質が変化するのかを分子レベルで明らかにすることを当初の目的とした。 まず、実際にユビキチン化され、それがミトコンドリアの崩壊に繋がるのであれば、その最も可能性の高い候補はミトコンドリアの膜を構成する蛋白質である。ミトコンドリア膜は様々な蛋白質で構成されているが、その中で膜を通した物質輸送に重要な役割を演じており、酵母から人までよく保存されているTim23に着目することにした。しかし、本研究で実験動物として用いるマウスにおいてTim23は未だクローニングされていないため、そのクローニングを試みた。泌乳期の乳腺では、ミトコンドリアが急激に増えるため、Tim23の多量発現が期待できるため、この時期の乳腺からmRNAを採取しcDNAのクローニングを試みた。その結果、人ときわめてホモロジーの高いクローンが得られ、その塩基配列を決定した。その配列を元に、プライマーを作製し、初期胚を調べたところ、Tim23の発現が確認できた。 次年度は、初期胚における実際の蛋白修飾を調べる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ito,M,Sakai,S,Nagata.M,Aoki,F: "Effect of histone deacetylase inhibitors on the early preimplantation development in mouse embryor."J.Mamm.Ora Res.. 17. 90-95 (2000)
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[Publications] Kuroishi,T,Sun.Y,Aoki.F Imakawa,K,Sakai,S: "The lactating mammary gland changes poly(A) tail length of casein mRNA reversiby and rapidly depending upon the degree of milk accumulation."Biochem.J.. 347. 579-583 (2000)
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[Publications] Kikuchi.K,Naito.K,Aoki.F et al.: "Maturation/M Phase promoting factor : a regulator of aging in porcine cocytes."Biol.Reprod.. 63. 715-722 (2000)
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[Publications] Sun,Y.,Kuraish,T.Aoki.F.Sakai.S: "Hormonal Regulation of mitochondrial Tim23 gene expression in the mouse mammary gland"Mol.Cell Endocrinol.. 172. 177-184 (2001)