2001 Fiscal Year Annual Research Report
エアプラントは大気中の水分を吸収して生きているのか-農業をする遺伝子の探索-
Project/Area Number |
12876074
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
田中 重雄 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (30115878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 洋一 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (50277240)
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Keywords | エアプラント / Tillandsia / CAM植物 / 乾燥耐性 / 吸水機構 / 水チャンネル / Aquaporin / 低温誘導 |
Research Abstract |
南米産のCAM着生植物であるTillandsia ionantha(エアプラント)は、植物にとって重要な吸水器官である根が本来の機能を果たさず、葉部から吸水を行っている。また、極めて乾燥に強い特性を有するとされている。そこで、本植物の耐乾性機構の解明を目指し、以下の実験を行った。 乾燥耐性を検証するため、水や肥料を与えず長期にわたり観察した結果、50日経過後も生体重は15%減少するものの外観上の変化は認められなかった。この理由として、(1)空気中水分の吸収機構の存在、(2)生体内水分の保持・再利用系の発達などが考えられるので、空気中水分の吸収機構に着目し、次の解析を行った。 気体の水の吸収能を測定するため、^3H2Oを気化させた密閉容器中に葉を一定時間入れ、葉表面の鱗片上に付着している^3H2Oを水洗により除いた後、葉の放射活性を測定した。その結果、生体内への水(気体)の取り込みが確認された。しかし、この取り込みが生物的吸収によるものであるかどうか明確でないため、低温(4℃)誘導に関する実験を行ったところ、生体内への取り込みが室温(24℃)よりも増加した。また、3日間にわたり低温処理を行い、水(気体)の取り込みを経時的に調べたところ、低温処理1時間後に取り込み量が室温の場合の約20倍となり、その後減少することが判明した。 さらに、植物体を高温(70℃)処理して生体反応の低下あるいは死に至らしめた結果、水(気体)の生体内取り込み量が激減した。以上の結果は、生物的吸収の可能性を示唆しており、現在さらなる検証を行っている。
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