2000 Fiscal Year Annual Research Report
変異ダイナミン遺伝子導入による赤芽球形態分化過程の検討
Project/Area Number |
12877002
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
大野 伸一 山梨医科大学, 医学部, 教授 (50109170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 靖久 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60126703)
馬場 健 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (90208710)
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Keywords | 赤芽球分化過程 / ダイナミン / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
本研究の目的は、赤血球の脱核分化過程におけるエンドサイトーシスの関与を、変異ダイナミン遺伝子導入赤芽球系細胞を用いて検討することであった。本年度は、ヒト赤芽球系細胞培養法の確立と分化誘導条件について検討した。 ヒト臍帯血から得られた細胞を、未成熟造血前駆細胞および幹細胞で特異的に発現する新しいマーカーAC133に対する特異抗体と磁気ビーズを用いて精製したものを用いた。AC133陽性細胞を5%牛胎児血清添加Dulbecco-MEM培地にて浮遊培養した。赤芽球系への分化誘導のためには、Stem Cell Factor 25ng/ml、エリスロポイエチン4U/ml、IL-3 10ng/ml、IL-6 10ng/mlを加えた。分化誘導後、経時的に細胞を採取し、光顕用ギムザ染色、トランスフェリンリセプターの免疫組織化学的染色、および固定脱水、エポン包埋材料の電子顕微鏡的観察により、赤芽球脱核分化過程の検討を行った。その結果、分化誘導3日目よりヘモグロビン合成が始まり、細胞ぺレットが赤くなった。ギムザ染色でも、同時期より典型的な正染性赤芽球が出現し、以後次第にその割合は増加していった。脱核幼若赤血球は分化誘導5日目より認められるようになった。しかし、分化誘導14日目でも正染性赤芽球には分化しない細胞が約30%残存していた。抗トランスフェリンリセプター免疫染色陽性細胞も3日目より出現し、次第に増加していった。さらに電顕的観察により赤芽球への分化が確認された。 次に、分化誘導3日目の細胞を用いて、変異ダイナミン遺伝子の導入を試みた。アデノウイルスベクター法では効率が著しく悪いことが判明したため、代わりにトランスフェリンフェクション法を用いた遺伝子導入を試みた。その結果、約10%の赤芽球系細胞には遺伝子が導入されたが、脱核分化への効果を検討するには効率が悪く、今後は遺伝子導入効率を上げるための条件設定の検討が必要と思われた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大野伸一: "生体内凍結技法"学際企画、電子顕微鏡基礎技術と応用2000〜凍結技法で広がる超微の世界〜. 157-174 (2000)
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[Publications] 大野伸一: "Determination of three-dimensional distribution of apoptotic DNA damage by combination of TUNEL and quick-freezing and deepetching techniques."Humana Press,In situ detection of DNA damage ; Methods Mol.Biol. (in press). (2001)
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[Publications] 薛梅: "Morphological study of erythrocyte shapes in red pulp of mouse spleens revealed by an in vivo cryotechnique"Histology and Histopathology. 16. 123-129 (2001)
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[Publications] 薛梅: "電顕レプリカ免疫染色法によるマウス幼若赤血球膜骨格構造の超微形態学的研究"解剖学雑誌. 76巻・1号. 135 (2001)