2000 Fiscal Year Annual Research Report
不妊に関与する遺伝および環境要因に関する予防医学的分子疫学研究
Project/Area Number |
12877058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 文宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90187154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 征一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60001898)
小橋 元 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60270782)
岸 玲子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80112449)
小柳 知彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80001923)
山田 秀人 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (40220397)
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Keywords | 不妊症 / 不育症 / 子宮内膜症 / 生殖機能 / 遺伝子多型 / シトクロムP450 / グルタチオン転移酵素 / キノン還元酵素 |
Research Abstract |
原因の不明の男女の不妊症などの生殖機能障害に関して、遺伝および環境の両面から病因を明らかにするため、本年度は女性の不育症(習慣性流産)86症例および不妊症(子宮内膜症を含む)89症例を対象に、多環芳香族炭化水素の代謝に重要な役割を果たしているCYP1A1遺伝子、アンドロゲン生合成に関与しているCYP17遺伝子、解毒代謝により活性化物質を親水性化合物に変えるグルタチオン転移酵素遺伝子のひとつであるGSTM1遺伝子および酸化的損傷から細胞を守る働きのあるキノン還元酵素NQO1遺伝子の多型とヒト生殖機能との関連を検討した。 現在までに解析の終わった予備的な結果として、CYP1A1遺伝子の3'側のMspI多型に関しては、不育症例ではm1/m1型47.6%、m1/m2型41.7%、m2/m2型10.7%みられ、不妊症ではm1/m1型68.1%、m1/m2型21.3%、m2/m2型10.6%みられた。不妊症では野生型ホモ接合の割合が多く、へテロ接合の割合が少ない傾向がみられた。CYP17遺伝子の5'側のMspA1I多型に関しては、不育症例ではA1/A1型20.9%、A1/A2型52.3%、A2/A2型26.7%みられ、不妊症例ではA1/A1型18.2%、A1/A2型54.5%、A2/A2型27.3%みられた。GSTM1遺伝子の完全欠損型は、不育症では65.1%、不妊症では50.6%の頻度でみられ、前者はこれまで報告された健常日本人の頻度より高かった。NQO1遺伝子のHinfI多型(P187S)は、不育症ではC/C型44.0%、C/T型42.9%、T/T型13.1%みられ、不妊症ではC/C型52.1%、C/T型39.7%、T/T型8.2%みられた。今後、不妊、流産の既往のない年齢、居住地をマッチさせた対照群との比較および喫煙など生活習慣との関連などを詳細に検討する予定である。
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