2001 Fiscal Year Annual Research Report
地域・職域における睡眠障害の把握およびその循環器疾患に及ぼす影響に関する疫学研究
Project/Area Number |
12877066
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80227214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 直子 大阪府立健康科学センター, 医長(研究職)
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50223053)
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Keywords | 睡眠 / 血圧 / 睡眠呼吸障害 / いびき / 循環器疾患 / 地域 |
Research Abstract |
欧米では、壮年人口の5-8%に睡眠障害があると報告されており、その中でも睡眠呼吸障害と肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧等の生活習慣病との関連に関して活発な研究が進められている。本年度は、昨年度実施した睡眠時の呼吸障害の症状である「いびき」の頻度と血圧値との関連の結果を受けて、主に中高齢者を中心に関東農村部において詳細な検討を行った。 茨城県K町で循環器検診を受診した者のうち、睡眠に関する問診に回答した40-79歳の受診者のうち、降圧剤服薬者、脳卒中・虚血性心疾患の既往者を除いた男性827名、女性1385名を対象者とした。対象者を40-59歳の中年群、60-79歳の高年群に分け、さらに過去3ヶ月間のいびきの頻度別に、第1群「ほとんど毎日」、第2群「ときどき」、第3群「全くかかなかった」に分けた。いびきの頻度と血圧値との関連について、性別、年齢階層別に共分散分析にて年齢、BMI(body mass index)、1日飲酒量を調整して検討した。 中年群においては、いびきの頻度が高くなるにつれて、男性では最小血圧値の年齢調整平均値が、女性では最大血圧値と最小血圧値の年齢調整平均値が有意に高かった。この傾向は男性ではさらにBMI、飲酒量を調整すると有意差がなくなったが、女性では最大血圧では有意差を(第1群125.9mmHg、第2群125.2mmHg、第3群122.4mmHg,p=0.03)、最小血圧では境界域の有意差を認めた(第1群77.4mmHg、第2群76.1mmHg、第3群74.9mmHg,p=0.13)。 以上の結果から中年女性群では年齢、BMI、飲酒量の影響と独立して睡眠呼吸障害自体による血圧上昇の可能性が示唆された。本研究で得られたデータを今後の追跡研究のベースラインデータとして位置付けることにより、さらに研究を発展させる予定である。
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