2001 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病における血液凝固因子(血漿フィブリノーゲン)の住民検診での検討
Project/Area Number |
12877069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊原 久孝 名古屋大学, 医学部, 教授 (80153873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 通孝 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10198012)
藤井 千恵 名古屋大学, 医学部, 助手 (70314002)
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Keywords | 血漿フィブリノーゲン / 血液凝固因子 / 動脈硬化 / 肥満 / 喫煙 / 加齢 / コレステロール / 糖尿病 |
Research Abstract |
平成12年度長野県松川町住民検診受診者2,795名のうち承諾を得られた2,706名(男性981名、女性1,725名)について血漿フィブリノーゲン濃度を測定し、その結果を住民検診結果と結合させてデータベース化した。本年度は、そのデータベースを活用して、血漿フィブリノーゲン濃度と各種要因との関連性について検討した。その結果、以下のことが明らかになった。 1.フィブリノーゲン濃度は、男女とも高齢者ほど高くなり、女性では50歳以降で特に高くなっていた。男女の比較では、女性のほうが男性より高い傾向がみられた。 2.BMIによる肥満度別の検討では、男女とも肥満度が高くなるにしたがい、フィブリノーゲン濃度も高くなった。 3.喫煙との関連(男性のみで解析)では、「非喫煙」、「過去に喫煙」、「現在喫煙」の順にフィブリノーゲン濃度は高く、喫煙の影響が見られた。 4.飲酒や運動習慣との関連は、有意な結果は得られなかった。 5.他の血液検査結果との関連では、総コレステロールやHbA1cが高いほど、フィブリノーゲン濃度も高い傾向がみられた。 6.重回帰分析の結果でも、年齢、性、肥満、喫煙、総コレステロール、HbA1cは、フィブリノーゲン濃度と有意な関連を示した。 本研究の結果、高齢、男性、肥満、喫煙、高コレステロール、耐糖能異常などのいわゆる動脈硬化危険因子の保有者は、正常範囲内ではあるが血漿フィブリノーゲン濃度も高い傾向にあり、血液凝固も起きやすい状態にあることが示唆された。動脈硬化危険因子保有者は、動脈硬化と共に血液凝固も起こしやすい状態にあり、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化性疾患の予防の観点から、留意する必要性が示唆された。
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