2000 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライト解析によるびまん性汎細気管支炎の主要感受性遺伝子座の推定
Project/Area Number |
12877092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳永 勝士 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40163977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 翔二 日本医科大学, 附属病院, 教授 (40256912)
慶長 直人 国立国際医療センター研究所, 呼吸器疾患研究部, 部長(研究職) (80332386)
大橋 順 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80301141)
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Keywords | びまん性汎細気管支炎 / ヒト白血球抗原 / HLA-B / マイクロサテライト / ハプロタイプ |
Research Abstract |
びまん性汎細気管支炎は我々を中心としたこれまでの検討により、第6染色体短腕上のヒト白血球抗原をコードするHLA-A,-B両遺伝子座間に主要疾患感受性遺伝子が存在する可能性がある。そこでその候補領域を明確にする目的で、疾患群92例、対照群93例を対象に、計14の遺伝マーカーを利用したハプロタイプ解析と関連分析を行った。疾患群で高頻度に見られる7座位の対立遺伝子型のうちカイ2乗値が高い5座位で組まれるハプロタイプの頻度を最大尤度法により推定し、3種の疾患感受性ハプロタイプを見いだした。さらに患者11例については、14マーカー座位のハプロタイプを直接決定し、上記疾患感受性ハプロタイプの存在を確認した。それらの疾患感受性ハプロタイプで共有される領域(共有分節)は、200kbにわたり、その分節内のマーカー対立遺伝子は、韓国人患者、20名中17名に見いだされた。疾患とマーカーとの関連性の強さを表すオッズ比やデルタ値も、推定された領域の中で最大値を示した。すなわち、いずれの解析方法によっても、HLA-B遺伝子座より300kbほどテロメアよりにある、S遺伝子とTFIIH遺伝子に挟まれた200kbの領域に感受性遺伝子が存在する可能性が強く示唆された。この領域には既知の遺伝子は報告されていないが、各種遺伝子予測プログラムでその存在が予想される少なくとも12の部位が存在したため、さらに候補領域を絞り込む目的で、新たに3種のマイクロサテライトマーカーを開発してタイピングを行い、候補領域内のセントロメア側の100kbに疾患感受性遺伝子が存在する可能性が高いことを見いだした。現在、この候補補領域内のSNPsの同定を進めている。これら一連の研究に対して、遺伝要因の関わるヒトの疾患および遺伝子の国際番号であるMIM number:604809が初めて本疾患に対して付与された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kanai T,Fujii T, et al.: "Polymorphism of Human Leukocyte Antigen-E Gene in the Japanese Population with or without Recurrent Abortion."Am J Reprod Immunol Microbiol.. 45・3. 168-173 (2001)
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[Publications] 慶長直人 et al.: "びまん性汎細気管支炎とHLA"血液フロンティア. 11・1. 39-46 (2001)
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[Publications] Keicho N.,J.Ohashi, et al.: "Fine localization of a major disease-susceptibility locus for diffuse panbronchiolitis."Am.J.Hum.Genet.. 66・2. 501-507 (2000)
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[Publications] 慶長直人,土屋朋子,中田光: "びまん性汎細気管支炎と分子遺伝学の接点"Ther.Res.. 21・8. 1900-1903 (2000)
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[Publications] 土屋朋子,慶長直人,中田光: "びまん性汎細気管支炎の病態生理"内科. 86・4. 733-736 (2000)