2000 Fiscal Year Annual Research Report
超音波ドップラー信号のウェーブレット解析による胎児心不全の診断法の開発への試み
Project/Area Number |
12877165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 州博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 芳孝 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40261622)
室月 淳 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50239555)
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Keywords | 超音波ドプラ信号 / ウェーブレット解析 / 心臓弁運動解析 / 羊胎仔胎児仮死慢性実験モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、心臓弁の振動状態変化をドプラ信号の変化として捉えることにある。これによって、胎児心不全の新しい検査法の研究確立が可能になると考えられる。しかし、胎児心臓弁の音響特性に基づき心臓弁の非侵襲的診断を行うためには、心臓弁各所の振動状態を50Hzから1000Hzまでの周波数帯域にわたり母体腹壁上から経母体的に計測する必要がある。本研究では第一段階として胎児心臓の心拍動に伴う振動状態を、母体の呼吸などの雑音の影響を除いて純粋に見るための基礎的実験とし、ビーム幅20mm以内、焦点距離50mmの2.5MHzドプラプローベを羊胎仔の胸壁に固定し胎児心臓からの振動を直接計測できる実験システムを設定した。ドプラのフィルター特性は50Hz以上3000Hz以下でフラットに設定した。実験は妊娠週日120〜130日の羊を全身痲酔下で胎仔を子宮外に出し心電図、観血的血圧計、ドプラプローブ、頚動脈血流計、採血用静脈カテーテルを付け、胎仔を子宮内に戻し子宮を縫合し、閉腹した状態で行われた。Digital audio tape recorderに記録された心電図、血圧波形、頚動脈血流波形を基に超音波ドプラ信に対し一心拍ごとにウェーブレット解析を行い心房室弁、大動脈弁の動きと連動するドプラシグナルが存在するかどうかを同定した。 時間領域の観測ではドプラ信号は各心臓の弁の開閉にあたる明確なピークは観測できなっかた。ウェーブレット解析による時間周波数領域では、房室弁・大動脈弁開放時に血流の影響によると思われる400Hzから1000Hzの高周波数のドプラ信号成分が観測された。また、房室弁開放区間には心房の収縮によると考えられる50から200Hzの低周波数の成分が観測された。 これにより胎児心ドプラ信号の時間周波数分布と心臓弁の動きとの対応が可能となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 木村芳孝: "胎児well-beingの評価の進歩"産科と婦人科. 第68巻・3号. 328-333 (2001)
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[Publications] 木村芳孝: "胎児心ドプラ信号変化と胎児心の各部位の運動の関係"日本産科婦人科学会雑誌. Vol.53・No.2. 546 (2001)
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[Publications] 亀山良亘: "慢性羊実験モデルを用いた胎仔心由来ドプラ信号の解析羊胎仔の状態悪化に伴う低周波数成分の変化"日本産科婦人科学会雑誌. Vol.53・No.2. 442 (2001)