2000 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞をベクターとする消化器癌再発抑制に関する遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
12877191
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50151171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 章 京都大学, 医学研究科, 助手 (60324646)
海道 利実 京都大学, 医学研究科, 助手 (80314194)
寺本 研一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80197813)
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Keywords | 遺伝子治療 / 線維芽細胞 / 血管内皮増殖因子 / Flt-1 / 消化器癌 |
Research Abstract |
癌を外科的に切除した場合、再発高危険部位は癌病巣周囲の剥離創部がその一つである。また、視点を変えれば、同部位には創傷の治癒機転が当然ながら働くものと想像され、そのときには線維芽細胞が集積しこれが創傷の治癒に関与する。 本研究ではこの事実に着目して、ラットにおいて1)腹腔内の創傷モデルの作成、2)腹腔内に投与された線維芽細胞(自己及び同種)の創部への集積性の確認、3)創傷部での腫瘍増殖モデルの作成、4)抗腫瘍能を有することが期待される遺伝子を線維芽細胞にin vitroにて導入し、これを用いて創部への特異的遺伝子治療の可能性の検討を行った。 結果 1)後腹腔膜に約1cmx1cmの範囲で創を作る方法とした。2)腹腔内に投与された自己及び同種の線維芽細胞は創部に特異的に集積することがFGPによる蛍光標識にて確認された。さらに、線維芽細胞が採取された部位によらずこの特異的集積能認められた。すなわち、採取の容易な皮膚由来の線維芽細胞でもこれに用いることが可能であった。3)ラット可移植性腫瘍細胞株を腹腔内の創部に注入することにより作製した。4)抗腫瘍作用が期待される遺伝子として、vascular endothelial growth factor(VEGF,血管内皮増殖因子)が腫瘍増殖に重要であり、その受容体であるFlt-1の可溶性型がVEGFをブロックして腫瘍増殖を抑えるという我々の最近の研究結果にもとずいて、可溶性受容体sFLT-1の遺伝子を用いた。 その結果、本遺伝子を導入した線維芽細胞により3)のモデルによる腹腔内の腫瘍増殖が抑制されることが示された。以上の知見は本方法が癌の再発制御に対する新しい遺伝子治療になりうることを示したものであり、現在、論文投稿中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Furumoto,S.Arii et al.: "Spleen - Derived Dendeitic Cells Engineered to Enhance Interleukin -12 Production Elicit Therepeutic Autitumor Inmune Responses"International Journal of Cancer. 87. 665-672 (2000)
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[Publications] 森章,有井滋樹 他: "可溶性Flt-1による腫瘍血管新生の制御"分子がん治療. 1・1. 56 (2000)
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[Publications] 山崎誠二,有井滋樹 他: "癌抗原遺伝子導入樹状細胞を用いた癌免疫療法"Surgery Frontier. 7・2. 58-63 (2000)
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[Publications] T.Moriga,S.Arii et al.: "Implication of human macrophage metalloelastase and vascular endothelial growth factor expression in angiogenesis of hepatocellular carcinoma"Annals of Surgery. 231. 67-73 (2000)
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[Publications] Y.Kondo,S.Arii et al.: "Enhancement of angiogenesis, Tumor growth, and metastasis by transtection of vascular endothelial growth factor into Live human colon cancer cell line"Clinical Cancer Research. 6. 622-630 (2000)