2001 Fiscal Year Annual Research Report
グラフト吻合部狭窄進展機序の解明に関する研究-テネイシン-Cを介するゼラチナーゼB発現を中心に-
Project/Area Number |
12877201
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小野田 幸治 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (70260601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 恭子 三重大学, 医学部, 講師 (00242967)
吉田 利通 三重大学, 医学部, 教授 (80166959)
矢田 公 三重大学, 医学部, 教授 (80093152)
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Keywords | テネイシン-C / グラフト吻合部狭窄 / 細胞外マトリックス / 内膜肥厚 / 動脈狭窄モデル / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.Lewis Ratを用いて、腹部大動脈に同種同系腹部大動脈を移植した後、末梢吻合部に50%絞扼術を追加し、動脈グラフト吻合部狭窄モデルを作製した。術後7、14、28、56日目にグラフトを採取し、Elastica-van Gieson染色にて組織学的検討を行い、同時にグラフトにおけるTenascinC(TN-C)蛋白およびmRNAの発現をそれぞれ免疫染色、in situ hybridizationにて検討した。また、絞扼術を加えない非狭窄モデルについても同様の検討を行った。さらにPDEIII阻害剤であるcilostazol 20mgをグラフトに局所塗布しグラフト狭窄抑制効果を検討した。また培養平滑筋細胞を用いて、cilostazolのTN-C抑制効果について検討した。 2.組織学的検討では、狭窄モデル、非狭窄モデル共に、術後14日日よりグラフト末梢吻合部、体部に新生内膜の形成を認めた。内膜/中膜比は、28、56日目で狭窄モデルで有意に高値であった。 3.TN-C免疫染色では、グラフト内に特異的にTN-Cの発現を認めた。特に、術後14日目よりグラフト体部、吻合部の新生内膜に一致して、強い発現を認めた。in situ hybridizationでは7日目より中膜に、14日目では新生内膜にmRNAの発現を認めた。これらより、TN-Cがグラフト狭窄進展に関与している可能性が示唆された。 4.術後28日目においてcilostazol投与群ではvehicle投与群に比べて内膜/中膜比は有意に低値であり、新生内膜形成の抑制を認めた。またcilostazolは培養平滑筋細胞のTN-C産生を抑制した。以上よりcilostazolは動脈グラフト狭窄の予防に有効であり、作用機序としてTN-C産生抑制が関与している可能性が示唆された。
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