コラーゲンゲル包埋TGF-β遺伝子導入滑膜細胞による軟骨修復

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12877223
• Research Category: Grant-in-Aid for Exploratory Research
• Research Institution: Shimane Medical University
• Principal Investigator: 馬庭 壮吉 島根医科大学, 医学部, 助手 (50239141)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 越智 光夫 島根医科大学, 医学部, 教授 (70177244)
• Keywords: 滑膜細胞 / TGF-β(β型腫瘍増殖因子) / コラーゲンゲル

Research Abstract

TGF-β遺伝子導入滑膜細胞のコラーゲンゲル内培養を行った。幼若家兎の膝関節から滑膜細胞を単離し、エレクトロポレーション法によってgreen fluorescent protein(GFP)遺伝子を導入し、蛍光顕微鏡でGFP遺伝子の発現を観察したところ、導入効率は3-5%で発現期間は3-4週であった。また、TGF-β1遺伝子を導入し、培養上清中のTGF-β1をELISA法で定量したところ、遺伝子導入郡では対照に比べて約1.3倍の増加を認めた(p<0.01)。TGF-β1遺伝子導入滑膜細胞をコラーゲンゲル(セルマトリックス)に包埋し(1x10^6個/ml)、10%FCS添加DMEM培地で4週間培養し、組織を観察した(パラフィン包埋、トルイジンブルー染色)。遺伝子導入郡では培養1週から細胞の形態は軟骨細胞様となったが、細胞外基質のメタクロマジーは認めなかった。また、RT-PCR法を用いて、ゲル包埋滑膜細胞におけるII型コラーゲン、アグリカン、chondromodulinのmRNA発現を調べたところ、遺伝子導入郡ではアグリカン、chondromodulin遺伝子の発現を認めたが、II型コラーゲン遺伝子発現は認めなかった。
以上のことから、TGF-β遺伝子導入滑膜細胞のコラーゲンゲル内培養によって、軟骨細胞様組織を形成することが可能であることがわかった。平成13年度はこの組織を実験動物の骨軟骨欠損部位、皮下組織等に移植し、軟骨組織の形成を観察する予定である。
(本研究の成果の一部は第15回日本整形外科学会基礎学術集会で発表した。)