2000 Fiscal Year Annual Research Report
電撃痙攀法によるプレコンディショニング(中枢神経系における虚血耐性)獲得の可能性
Project/Area Number |
12877245
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森田 潔 岡山大学, 医学部, 助教授 (40108171)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 方久 岡山大学, 医学部, 教授 (70033058)
武田 吉正 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (30294466)
|
Keywords | 全脳虚血 / 電撃痙攀 / 脳保護 |
Research Abstract |
中枢神経系のプレコンディショニングとはストレス蛋白の発現や細胞内情報伝達系の抑制により、虚血に対する脳の耐性を高める方法である。プレコンディショニングは有望な神経保護手段と考えられているが、その導入には短時間の虚血侵襲や、スプレディング・デプレション等の発生が必要なため、臨床では行われていない。一方、電撃痙攀法は精神科領域の診療で使われており、安全性が確立している。本研究は、電撃痙攀法により、プレコンディショニングを得ることが可能か調べることを目的としている。本年度は、ラットに対し6秒間の電撃痙攀を施行した。痙攀48時間後に4-vessel occlusion法で10分間の全脳虚血を負荷した。虚血負荷5日後に潅流固定を施行し、組織所見をマトキシリン・エオジン染色で観察した。DC-ポテンシャルは電撃痙攀時と虚血負荷時に大脳皮質および海馬で測定した。電撃痙攀時、多くのラットで一過性の脱分極が認められた。4-vessel occlusion施行による脱分極開始までのonset timeは痙攀群188±54秒、sham群189±73秒と2群間に差を認めなかった。しかし、50%のCA1領域錐体細胞が障害を受ける脱分極時間の閾値は痙攀群1100秒、sham群600秒と痙攀群で有意に延長していた。虚血負荷5日後の組織所見でも、痙攀群の障害はsham群に比べ軽微であった。本研究より、電撃痙攀法にはプレコンディショニングの効果があり、脳虚血に対する有効な保護法である可能性が示唆された。
|