2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的多型分析に基づく子宮内膜症の関連遺伝子の解析
Project/Area Number |
12877263
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中後 聡 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (50283891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朝臣 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (90314484)
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Keywords | 子宮内膜症状 / 遺伝的多型 / ポリメレース・チェイン・リアクション / 制限酵素断片長多型 / CYP17遺伝子 |
Research Abstract |
日本における子宮内膜症関連遺伝子を同定することを目的として、本研究を遂行中である。昨年に引き続き疾患群と対照群において子宮内膜症との関連が予想される遺伝子多型分析を行い、遺伝子型の出現頻度を比較検討している。 これまで神戸大学で子宮内膜症として診断された102名、開腹術等にて子宮内膜症が存在しないことが確認された106名より本研究参加の同意が得られ、対象者から全血5-10cc採取した。血液検体よりQIAamp DNA Blood mini kitを用いてgenomic DNAを抽出し-80度で保存している。 遺伝的多型分析は、昨年行ったglutathione-S-transferase(GST)M1、GSTT1遺伝子に続き、本年度は性ステロイドの合成経路の中で重要な役割を果しているCYP17遺伝子に注目した。本遺伝子多型(A1A1型、A1A2型、A2A2型)と前立腺腫瘍や多嚢胞性卵巣症候群との関係はすでに報告されているが、子宮内膜症では現在のところ報告がない。本研究における疾患群の中から中等度-重症子宮内膜症群(n=72)を対象とし検討したところ、CYP17 A1A1遺伝子型発現頻度は28%、A1 allele発現頻度は0.542で対照群(n=86)における27%、0.517と有意な差を認めなかった。 また、Oxford大学医学部産婦人科より英国在住の子宮内膜症94例、対照97例より得たgenomic DNA検体の供与を受けた。英国におけるCYP17遺伝子多型を同様に分析し、日本における成績と比較検討したところ、CYP17遺伝子型の発現頻度は疾患群、対照群ともに日本と英国間で有意な差を認めなかった。 以上の成績より、CYP17遺伝子は単独で子宮内膜症の関連遺伝子となる可能性は少なく、また、本遺伝子周辺に子宮内膜症疾患感受性遺伝子が存在する可能性も低いと考えられた。今後はエストロゲン受容体やN-acetyl transferase1(NAT1)およびNAT2の遺伝子多型に注目し、分析のための予備実験を遂行中である。
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