2001 Fiscal Year Annual Research Report
中頭蓋窩法における内耳道の簡便同定法の開発―外耳道内照明法の研究―
Project/Area Number |
12877271
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小林 俊光 長崎大学, 医学部, 教授 (80133958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 博光 長崎大学, 医学部, 助手 (50281209)
菊地 俊彦 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (70177799)
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Keywords | 内耳道 / 聴神経腫瘍 / 中頭蓋窩法 / 側頭骨 / 解剖 |
Research Abstract |
平成12年度には、側頭骨標本を用いて、外耳道内の照明が骨面より透見できる領域を観察し、大錐体神経や弓状隆起および内耳道との位置関係を検討した。 方法:(1)ヒト側頭骨標本を10個用い、その高分解能CTを、水平断および冠状断と同一面にて0.5mmスライス幅に撮影した。(2)側頭骨の中頭蓋窩硬膜を剥離した後、鼻咽腔ファイバースコープを外耳道内に挿入し、骨面より最も明白に光の透見できる位置でファイバースコープを固定し、光の透見範囲や形状を観察すると共に色素にてマークし、大錐体神経や弓状隆起との位置関係を検討した。(3)内耳道上壁の骨をドリルで削除して内耳道を露出し、マークした光の透見領域との位置関係を計測し、さらに、CT画像との比較を行った。 結果と考察:弓状隆起(上半規管)は光が透見されず、大錐体神経は強く透見できる領域の内側縁に位置していた。そのため、大錐体神経と弓状隆起の確認が容易であった。水平断CT画像の顔面神経の面で計測した内耳道底より上鼓室内側壁までと上鼓室中央までの距離はそれぞれ5.6〜7.4mmおよび9.3〜11.3mmであり、露出した内耳道底より光が強く透見される領域までとその中央までの距離は、それぞれ5.2〜6.0mmおよび7.8〜10.8mmであった。 平成13年度には実際の中頭蓋窩法手術2例において本法を試み、その有用性を確認した。 以上の結果より、内耳道を開放する際には透見される光を参考にして大錐体神経と弓状隆起を確認し、光の透見領域の中央より15mm以上離して骨削除を開始することにより内耳道の同定を容易かつ迅速に行うことが可能と考えられた。
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