2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しい緑内障動物モデルの確立と網膜神経節細胞の慢性細胞死の分子機構解析
Project/Area Number |
12877275
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉村 長久 信州大学, 医学部, 教授 (70211662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 さち子 信州大学, 医学部・付属病院, 助手 (60313863)
太田 浩一 信州大学, 医学部, 助手 (70262730)
青山 俊文 信州大学, 医学部, 教授 (50231105)
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Keywords | PPARα遺伝子ノックアウトマウス / エタノール / アポトーシス / TUNEL法 / ミトコンドリア / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
PPARα遺伝子ノックアウトマウスおよび正常マウスに4.0%エタノール食を長期的に摂取させ6ヶ月後に眼球を摘出・固定し、その網膜の光学顕微鏡観察用のパラフィン切片と電子顕微鏡観察用切片を作成した。HE染色による切片では両者において大きな違いはみられず核の凝集や網膜層の厚さにちがいもみられなかった。さらにTUNEL法(Gavrieli et al.J.C.B.1992)およびPIによる染色を加え、アポトーシスを起こしている細胞を検出した。神経節細胞層と網膜内層の一部にTUNEL弱陽性細胞が見られたが、核のクロマチン凝集によるPI濃染はみられなかった。網膜外層にはTUNEL陽性細胞はみられなかった。ノックアウトマウスおよび正常マウスで同様の変化がみられたがノックアウトマウスにおいてやや強い障害がみられた。エタノール投与によって急性の網膜障害のようなアポトーシスは確認できなかったもののわずかではあっても網膜の細胞に障害が見られることが示唆された。 また電子顕微鏡にて同様のサンプルの網膜を観察したところノックアウトマウスおよび正常マウスで視細胞内節のミトコンドリアの膨化がみられた。しかし、この変化はノックアウトマウスにおいて顕著に見られた。エタノール投与前の正常マウスとノックアウトマウスで同部位を比較してみるとノックアウトマウスのみにミトコンドリアの膨化がみられた。このことからエタノールによって網膜障害は誘起されるがノックアウトマウスは元来ミトコンドリアの形態・機能異常がありエタノール投与によってその異常が増強されるものと考えられた。また、正常マウスにおいてもエタノールは網膜障害を引き起こす可能性があると考えられた。 PPARαの網膜における局在を免疫組織化学的に検討した。外網状層の内層(シナプス部)、網膜神経節細胞層および内顆粒層に染色がみられた。 ノックアウトマウスと正常マウスの網膜電位図(ERG)を測定してその視機能を比較検討した。両者に有意な視機能の相違はみられなかった。
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