2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性眼底疾患におけるエキソントラップ法によるスプライス変異の解析
Project/Area Number |
12877279
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊佐敷 靖 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70168160)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 久美子 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30217658)
|
Keywords | 遺伝性眼底疾患 / 変異動態 / エキソントラップ法 / ゲノムDNA |
Research Abstract |
遺伝病の病態を検討する上で、遺伝子翻訳や発現蛋白に関連するポストゲノム解析の意義は大きい.一方、遺伝性眼底疾患は網膜脈絡膜や視神経を主要病変部位とするので、RNA試料や蛋白試料を得ることが一般に困難である.そこで、ゲノムDNA試料にエキソントラップ法を応用して、遺伝性眼底疾患のスプライス変異例について翻訳動態の解析を試みた. 遺伝性網膜変性のひとつであるSorsby's fundus dystrophyの疾病遺伝子(TIMP3)にエキソン5直前のスプライス受容部位挿入変異が同定された症例を検索対象とした.ゲノムDNA試料から、エキソン4→イントロン4→エキソン5を含む領域を単一断片として増幅した.得られた増幅断片をサブクローンした後、エキソントラップベクターの2個のエキソンの間に挿入した.挿入型のエキソントラップベクターをCOS細胞内で発現させ、スプライス反応後のRNAからcDNA断片を回収して、その塩基配列を決定した.変異例では、エキソン5の転写が無視されて、エキソン4の直後にエキソントラップベクター固有の第2エキソンの塩基配列が解読された. Sorsby's fundus dystrophyは常染色体優性遺伝病である.ヘテロ接合の変異遺伝子が生体内でどのような病的効果を及ぼすのかは不明であるが、検索症例のようなスプライス変異があると、変異部位以降の遺伝子にスキップがおこることが示唆される.エキソントラップ法の本来の目的は新規遺伝子翻訳領域を分離同定することであるが、スプライス異常が考えられる症例の変異動態解析にも有用であろう.フレームシフト変異など、類似の分子的病態が考えられる他の遺伝病症例についても同様に検討する意義がある.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Isashiki Y,Kii Y,Ohba N,Nakagawa M: "Retinopathy associated with Machado-Joseph disease (spinocerebellar ataxia 3) with CAG trinucleotide repeat expansion."American Journal of Ophthalmology. 131(in press). (2001)
-
[Publications] Kakiuchi-Matsumoto T,Isashiki Y,Ohba N,Kimura K, et al.: "Cytochrome P450 1B1 gene mutations in Japanese patients with primary congenital glaucoma."American Journal of Ophthalmology. 131(in press). (2001)
-
[Publications] Kimura K,Isashiki Y,Sonoda S,Kakiuchi-Matsumoto T, et al.: "Genetic association of manganese superoxide dismutase with exudative age-related macular degeneration."American Journal of Ophthalmology. 130. 769-773 (2000)