2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモンとしてのサリドマイド・・・細胞検定を指標にした構造展開
Project/Area Number |
12877347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 祐一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90164798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小磯 邦子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (50092200)
小林 久芳 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (80225531)
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Keywords | アンドロゲンアンタゴニスト / サリドマイド / 前立腺がん / イソキサゾロン骨格 / 変異型レセプター / 耐性克服 |
Research Abstract |
アンドロゲンアンタゴニストによる前立腺がんの化学療法における最大の問題は、前立腺ガン細胞のアンドロゲン非依存性・アンドロゲンアンタゴニスト耐性の獲得であり、そのメカニズムの一つは、核内アンドロゲンレセプターの点突然変異(T877AやT874Hなどが知られている)である。変異型アンドロゲンレセプターはヘリックス12の折り畳み構造に基づく構成的に活性型コンフォメーションをとる。上記問題を解決するために、核内アンドロゲンレセプターのヘリックス12の折り畳み自体を阻害する「立体障害型アンドロゲンアンタゴニスト」の創製を狙った。 具体的には、サリドマイドの構造から抽出したプロトファルマコフォアたるフタロイルないしホモフタロイル構造を基本にした構造展開の末、イソキサゾロン骨格を選択し、周辺の化合物群を合成した。 得られた化合物群について、培養細胞系を用いての抗アンドロゲン様活性の検定を行った。アンドロゲン依存的に増殖するシオノギ癌細胞SC-3や、変異型アンドロゲンレセプターを発現するヒト前立腺がん細胞LNCaPを用い、その増殖促進を見ることでアンドロジェン活性を、テストステロン存在下における増殖の抑制を見ることによって、抗アンドロゲン一次活性の指標とした。 その結果、既存のアンドロゲンアンタゴニストが全く無効である、点突然変異を生じた核内アンドロゲンレセプターを発現する、アンドロゲンアンタゴニストに耐性を獲得したヒト前立腺ガン細胞に対しても十分に有効な新規アンドロゲンアンタゴニストの創製に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ishioka, et al.(他5名): "Novel non-steroidal/non-anilide type androgen antagonists with an isoxazolone moiety"Bioorganic and Medicinal Chemistry. 10・5. 1555-1566 (2002)
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[Publications] Y.Hashimoto: "Structural development of biological response modifiers based on thalidomide"Bioorganic and Medicinal Chemistry. 10・3. 461-479 (2002)
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[Publications] Y.Hashimoto: "Structural development of biological response modifiers based on retinoids and thalidomide"Mini-Reviews in Medicinal Chemistry. 2・6. 543-551 (2002)
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[Publications] Y.Hashimoto: "Structural development of synthetic retinoids and thalidomide-related molecules"Cacer Chemotherapy and Pharmacology. (印刷中). (2003)
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[Publications] 長澤和夫(他1名): "サリドマイドの構造展開と活性拡張"細胞工学. 22・2. 152-155 (2003)
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[Publications] 橋本祐一: "サリドマイドの新しい適応"現代医療. (印刷中). (2003)