2000 Fiscal Year Annual Research Report
次世代型DDS製剤としての細胞内動態制御技術の確立
Project/Area Number |
12877360
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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Keywords | 細胞内徐放 / ナノスフェアー / 細胞内動態 / 遺伝子治療 / 膜融合リポソーム |
Research Abstract |
本研究では細胞質内での薬物徐放を念頭にナノスフェアー(NS)封入膜融合リポソームの作製方法を確立し、細胞質内へのNS導入キャリアーとしての有用性を検討した。その結果、混合脂質粉末を用いた水和法により、粒子径500nmまでのNSなら膜融合リポソームに封入出来ることを示した。また、共焦点レーザー顕微鏡による検討において、NSを封入した通常のリポソームでは細胞内にNS由来の蛍光が殆ど観察されないのに対して、NS封入膜融合リポソームを作用させると、細胞あたり約十数個の粒子状の蛍光が細胞質内に確認された。つまり膜融合リポソームは、リポソームに内封したNSを細胞質内に効率よく導入可能であることが確認された。またFACS法を用いた検討においても同様の結果が得られ、NS単独およびNS封入リポソームを作用させても、NSの細胞内導入が殆ど確認されないのに対して、NS封入膜融合リポソームを用いた場合には、どの細胞株においても90%以上の細胞に効率よくNSが導入されていることを証明した。さらに膜融合リポソームを用いた場合では、サイトカラシンB処理した細胞においても、未処理の細胞とほぼ同等のNS取り込みが確認されたことより、エンドサイトーシス非依存的な経路、つまり細胞膜との融合により、NSが細胞質内に直接導入されていることが示唆された。本結果は、マイクロマニュピュレーターを用いることなく、固形粒子を細胞質内に直接導入できることを示した初めての報告であり、今後、遺伝子治療の最適化を目指した細胞質内薬物動態制御研究への応用が期待される。現在、本技術を用いてアンチセンス核酸の細胞内徐放に関する検討を行っている。
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