2000 Fiscal Year Annual Research Report
新生児肝臓で特異的に誘導されるメタロチオネインによる遺伝子発現の調節
Project/Area Number |
12877372
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 徳夫 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (60176352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 剛 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50303988)
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
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Keywords | メタロチオネイン / 肝臓 / トランスケトラーゼ / バニン3 / エンドトキシン / ガラクトサミン / α1-酸性糖タンパク質 |
Research Abstract |
金属結合タンパク質であるメタロチオネイン(MT)は、重金属刺激以外に起炎刺激によっても発現上昇する。新生児肝臓でも高い発現が認められる。最近、MTが他の遺伝子発現を修飾する可能性がin vitroで示されている。本研究はこの可能性をin vivoで検証するとともに、遺伝子発現修飾の結果としての生体影響についても解析した。 野生型、およびMT欠損マウス肝臓RNAを試料に、申請者らが開発した改良型DD法を用いて遺伝子発現パターンの網羅的解析を行った。発現パターンに差が認められるDDバンドについて配列決定を行った。結果的に5種のバンドを同定し、northern blot法による解析でもMTの有無による発現変動を認めた。これらの内にはトランスケトラーゼ、およびバニン3が含まれ、両遺伝子の発現はMT欠損により上昇した。これらは酸化還元反応に関わる、あるいは関わる可能性が想定される分子であり、観察された変動はラジカル消去因子としてのMTが存在しないための代償と推定される。一方、MT欠損により発現低下する分子として急性期タンパク質であるコントラプシンを同定した。本遺伝子の亜鉛に対する発現応答も認めたため、さらに急性期タンパク質遺伝子に対するMTの発現修飾作用を解析した。急性期タンパク質であるα1-酸性糖蛋白質の発現は、MT欠損で低下し、MTが増加する刺激で上昇した。そこで、本タンパク質の防御活性が認められるLPS/GalN投与による致死モデルを用いて、MT欠損マウスと対照マウスの致死感受性を比較した。MT欠損マウスの致死感受性は有意に亢進しており、MTによる遺伝子発現修飾の結果と考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kimura et.al.: "Metallothionein-Null Mice Express Altered Genes during Development"Biochem Biophys Res Commun. 270. 458-461 (2000)
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[Publications] T.Kimura et.al.: "Sensitivity of Metallothionein-Null Mice to LPS/D-Galactosamine-Induced Lethality"Biohem Biophys Res Commun. 280. 358-362 (2001)