2000 Fiscal Year Annual Research Report
看護職によって医療事故が回避された事例に関する研究
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12877401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
稲田 三津子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教授 (40257267)
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Keywords | 注射業務 / 危険要因連鎖 / 回復事由 / インシデントレポート / 安全確認行動 |
Research Abstract |
1.高頻度、ハイリスクである注射業務を対象に、看護職がどのような行為や工夫を行っているのかを明確にするために、大学病院及び総合病院に勤務する臨床経験10年目以上の看護婦5名を対象に、一連の注射業務の行為について焦点化されるまでインタビューを繰り返し行った(2〜4回)。また、一部看護婦と行動を共にし、業務手順を観察した。その結果、対象となった看護婦の注射業務における安全確認行動には、病棟のルールとして規定されている行動と、看護婦個人が不安全行動を意識し、独自に個人のルールを設定している行動が見られた。次に、平成12年1月〜12月の全国紙に掲載された、看護職が関与していた注射業務における重大事故8件を分析し、対象となった看護婦の安全確認行動と比較検討した。その結果、当該看護婦のような安全確認行動をとっていれば、8件の医療事故はインシデント段階で防ぐことができたと思われる。したがって、このような行動規範を有する看護職を対象とした分析が、医療事故防止には需要であることが明らかとなった。 2.注射業務に関わるインシデントレポートを提出した看護職者の内、承諾の得られた看護婦4名を対象に、インシデントの内容、気がついた段階及びその理由、勤務状況、日常気をつけている事等について焦点化されるまで、インタビューを繰り返し行った(2〜3回)。その結果、インシデントの原因は、「思い込み」「割り込み業務」であった。しかしながら、全事例において、行為後の確認行動を行うことにより、事故を未然に防ぐことが出来ていた。したがって、医療事故防止における確認行動の有効性が明らかとなった。
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