2000 Fiscal Year Annual Research Report
食感表現記述語の収集・整理に基づく東西食文化の分析と食感評価法創成の試み
Project/Area Number |
12878019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
勝田 啓子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50093555)
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Keywords | 食感 / 食感記述語 / 食感要素 / 東西食文化 / 嗜好 / テクスチャー / 力学特性 / 物理的性質 |
Research Abstract |
食品の特性に由来する何らかの刺激に対する感覚応答あるいは意識の総体である食感は、まさに主観的な評価である。食感表現語、記述語を整理することで、主観的評価を左右する大きな要因となる食文化圏の違い、特に東西食文化の差異を明らかにし、その知見を元に客観的評価法創成を試みることとした。 研究着手年である本年は、30種の代表的な食品をセレクトし、それら食品に対する「おいしさ」と「まずさ」を表現する記述語、そしてその食品を特徴づける食感用語を自由記述方式でアンケート収集し、加えて被調査者の基礎データとして年齢や居住地、両親の出身地に加え、被調査者の嗜好性との関連を探るため、好きな食べ物と嫌いな食べ物の有無とその理由も調査した。その結果、学生、社会人とも食べ物の好みには物理的食感すなわちテクスチャーが大きな要因を占めることが明らかになった。特に、特有の「味」や、特徴的で強烈な「香り」を有する食べ物は好悪がはっきり分かれ、嫌いな食べ物には物理的要因の寄与は少なく、化学的要因(風味)の方が大きなウエイトを占めることが明らかになった。そして、個々の食品の特色を表す物理的な食感用語の中味を眺めると、力学的な評価法すなわちTPA法と言われるテクスチャー測定法では客観測定には不十分で、ずり変形を考慮した測定法、さらには変形前の力学的性質すなわち微小変形下での基本的レオロジー測定が必要であること、それ以上に力学測定では評価しきれぬ表面特性、密度、融点、熱的性質など、より大きな意味での物理的性質を測定する必要があることが判明した。次年度食品数を絞り東西文化圏の差異を明らかにし、適切な測定法を創成する予定である。
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