2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12878060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 進一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30029540)
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Keywords | 遊び / 遺伝的アルゴリズム / 環境 / 人工生命 / シミュレーション / 能力 / 個性 |
Research Abstract |
人類は個人としては弱小でも、集団としては多様性を内に持ち、一見不合理し非効率なところがあっても結局は合理的に構成された集団であることを、人工生命を発生・進化させて実証する。これにより、たとえば遊びといえども集団としての人間にとって様々に変化してきた環境から獲得した多様な能力の一部であり、種々の環境に対する適応性を保持するために必要な機能の発露であることを、証明・検証する。また、自由な発想に基づき、個性を生かす社会が集団としての能力を最大限引き出す形態である。これらのことを実証するため、単純化した世界モデルを用いて、GA手法による世代交代の中で人工生命とその集団が才能と個性を獲得していく進化プロセスを計算機上で遺伝的アルゴリズムによりシミュレートした。 比較シミュレーション実験では、遊びの単純な世界と複雑な世界を比較した。遊びが単純な世界は遊ぶために才能を全く必要としない世界であり、複雑な世界は多くの才能を必要とする世界である。そして、環境から要求される才能を階段的に半分入れ替える"変革"に加えて、時には、環境から要求される才能をすべて入れ替える"大変革"を加えた。その結果、単純な遊びしか持たない世界はパフォーマンス(祉会の収益)が、とくに変革・大変革に対してかなり不安定であったのに対して、複雑な遊びをもつ世界は変革期にもパフォーマンスがほとんど変化しない結果が得られた。すなわち、遊びが存在することによって、世界が非常に安定することが観察された。
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