2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル・ゲル包括法によるタンパク質分子の構造・機能解析
Project/Area Number |
12878125
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柴山 修哉 自治医科大学, 医学部, 講師 (20196439)
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Keywords | ゾル・ゲル法 / ヘモグロビン / 2状態モデル / タンパク質のフォールディング |
Research Abstract |
1.ヘモグロビンの新規構造状態のX線結晶解析:ヘモグロビン(Hb)分子の挙動は単純なT状態とR状態の平衡で定量的に記述できないことが知られているが,その分子論的な説明はまだない.本研究ではこの問題に対する直接的なアプローチとして,多孔性ゲルにHbを閉じ込めて構造変化を凍結する方法でHbの親和性状態の数を調べる実験を行った.その結果,T状態には酸素親和性の約100倍異なる2種類のコンホメーションがあることを実験的に示した.ゲル中で見つかった"最低親和性状態"は,従来の脱酸素型Hb結晶とほぼ同じ酸素親和性を持つ.したがって,この"最低親和性状態"の構造は,従来の脱酸素型HbのX線結晶構造で与えられると考えるのが自然であろう.現在,もう一方の酸素親和性の高い方の未知の状態の結晶解析を目指して,(1)ウマの脱酸素型Hb(ヒトの脱酸素型Hbは,従来のT構造,即ち,最低親和性状態の結晶の溶解度が極めて低い),(2)C末端アミノ酸残基を切除したウマの脱酸素型Hb,(3)ウマの一酸化炭素結合型Hbとベザフィブレート(Hbの酸素親和性を下げることで知られる薬剤)との複合体の結晶化を行い,SPring-8放射光でX線回折データの収集を行った.現在,解析が進行中である. 2.ゾル・ゲル中タンパク質の折れたたみ実験:通常のゾル・ゲル包括法では,ゲル中に閉じこめたタンパク質を変性させると,変性タンパク質がゲルから漏出してしまうことが明らかになった,この問題を克服するため,ゲルの細孔中に再度ゾルを浸透,ゲル化させ固定度を上げる新しい方法を考案した,現在,この固定法を用いて変性シトクロムのrefolding過程を吸収スペクトル変化で追跡する実験を行っている.ゲル中で観測される折れたたみ過程は,溶液中のそれと比較して数桁のオーダーで減速していることが示されている.
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Research Products
(1 results)