2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル・ゲル包括法によるタンパク質分子の構造・機能解析
Project/Area Number |
12878125
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柴山 修哉 自治医科大学, 医学部, 講師 (20196439)
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Keywords | ゾル・ゲル / ミオグロビン / 酸素平衡曲線 / シトクロムC / フォールディング / ヘモグロビン |
Research Abstract |
1.ミオグロビンのコンホメーションの固定:ミオグロビンの脱酸素状態と一酸化炭素結合状態をウエットなゾル・ゲル中に固定し,これら二つのコンホメーションの違いを酸素平衡機能の観点から調べた.一酸化炭素結合状態で固定されたミオグロビンは,ほぼ均一な酸素平衡曲線を示し,その酸素親和性(0.2mmHg)は溶液のミオグロビンの親和性(0.5mmHg)より約2倍高かった.一方,脱酸素状態で固定されたミオグロビンの酸素平衡曲線は不均一性を示し,酸素親和性の大幅に異なる3成分(0.19,0.9,44mmHgの3成分)の和で記述できることが分かった.これらの結果は,ミオグロビンの各状態中に存在するコンホメーションの分布を室温のゾル・ゲルで凍結できることを示しており,一見単純にみえる溶液中ミオグロビンの酸素平衡特性は,リガンド結合に伴うコンホメーション分布の再編から生まれることを示唆している. 2.ゾル・ゲル中シトクロムcのrefolding:薄いフイルム状のゾル・ゲルに閉じこめたネイティブ状態のシトクロムcがpH1.5で酸変性する過程と,pH4.5で再び折れ畳まれる過程をヘムの光吸収スペクトル変化で追跡した.ゾル・ゲル中シトクロムcのrefolding過程は,通常の溶液中のそれと比較して数桁から10桁のオーダーで減速することが示された.特に,重合度を高くしたゾル・ゲル中ではrefoldingの中間体(いわゆるモルテングロビュール状態)を室温で長時間(数時間)捕捉することができた. 3.ゾル・ゲル固定法で見つかった"酸素親和性の高いT状態ヘモグロビン"のX線構造解析を意図して,いくつかの結晶試料について構造の精密化を行っている.現在のところ,まだ目的の構造は得られていない.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Naoya Shibayama: "Crystal Structure of Horse Carbonmonoxyhemoglobin-Bezafibrate Complex at 1.55-Å Resolution"Journal of Biological Chemistry. 277. 38791-38796 (2002)
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[Publications] Naoya Shibayama: "Oxygen Equilibrium Properties of Myoglobin Locked in the Liganded and Unliganded Conformations"Journal of the American Chemical Society. (in press). (2003)