2000 Fiscal Year Annual Research Report
適応性運動学習の形成における前頭眼野領域と小脳虫部の役割-活動性眼球運動と前庭眼反射の干渉系を用いた実験-
Project/Area Number |
12878156
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 菊郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70091486)
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Keywords | 前頭眼野 / 滑動性眼球運動 / 視線運動 / 適応性運動学習 / 反応時間 / 利得 / サル / 前庭応答 |
Research Abstract |
生体にとり最も重要な視覚入力を適切に取り込むために脳は種々の眼球運動サブシステムを使い分ける。霊長類になって初めて高度に発達した滑動性眼球運動系は、前庭系と干渉を起こして視線(空間内眼球)運動を維持するために働く。本研究は、滑動性眼球運動を誘発するスポット刺激と前庭回転刺激を直交軸で、両者を同期させて台形波状に与え、スポットを追跡する訓練を繰り返すことにより、両刺激開始後の適応性追跡眼球運動応答の初期成分を調べた。訓練開始直後は、追跡眼球運動の反応時間は、スポット単独による滑動性眼球運動の反応時間に一致し、約100msでスポットの追跡を開始した。訓練後30分から1時間以内に、追跡眼球運動応答の反応時間が平均で42msにまで短縮した。さらに刺激開始後、100msでの眼球速度は有意に増加し、平均利得(眼球速度/視標速度)は0.4であった。このような適応性の追跡眼球運動応答は訓練後、スポットを消して、完全な暗室下で前庭刺激のみを与えた場合は、平均利得0.2以下であり、スポットが呈示された場合の応答を説明出来なかった。また訓練後、前庭刺激を加えず、スポットのみを台形波状に与えた場合は、反応時間はやはり100msであり、滑動性眼球運動自体が適応性変化を起こしたとは解釈できない。しかし訓練後、前庭刺激とスポット刺激を同期させて与え、スポット刺激の速度を訓練速度とは異なった速度で与えると、反応時間80msで追跡眼球速度が、新しい視標速度に対応して変化した。この反応時間は、訓練前或いは、訓練後スポット単独による追跡眼球速度よりも有意に短縮していた。以上の結果は、本研究で用いたスポットと前庭回転との干渉刺激により、滑動性眼球運動系が前庭入力を効果的に使って、追跡眼球運動の潜時の短縮と眼球速度の上昇という適応性変化を起こしたことを示す。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fukushima K: "Activity of smooth pursuit-related neurons in the monkey periarcuate cortex during pursuit and passive whole body rotation."J Neurophysiol. 83. 563-587 (2000)
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[Publications] Fukushima K: "Cross axis VOR induced by pursuit training in monkeys : further properties of adaptive responses."Arch.ital.Biol.. 138. 49-61 (2000)
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[Publications] Takeichi N: "Dissociation of smooth pursuit and VOR-cancellation in spinocer ebellar ataxia type 6."Neurology. 54. 860-866 (2000)
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[Publications] Fukushima J: "Development of voluntary control of saccadic eye movements. (1) Age-related changes in normal children."Brain and Development. 22. 173-180 (2000)
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[Publications] Fukushima K: "Adaptive eye movements induced by cross-axis pursuit-vestibular interactions in trained monkeys.(in press)"Acta Oto-laryngologica. Suppl.
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[Publications] 福島菊郎: "視線制御と小脳"神経研究の進歩. 44. 983-992 (2000)
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[Publications] 福島菊郎: "サッケードと追跡眼球運動"朝倉書店 (印刷中).
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[Publications] Fukushima K: "Activity of frontal eye movement-related neurons during pursuit-vestibular interactions"Monduzzi Editore. 247-251 (2000)