2000 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける肺気腫およびα1アンチトリプシン欠損型亜型Siiyamaの疫学調査
Project/Area Number |
12897008
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
福地 義之助 順天堂大学, 医学部, 教授 (80010156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 講師 (10226681)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / α1-アンチトリプシン欠損症 / 疫学調査 / 感受性因子 |
Research Abstract |
アジア系民族の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の特徴や感受性因子を調査する目的で、アジア太平洋地域におけるCOPDとα1-アンチトリプシン(α1AT)欠損症の疫学調査を実施した。方法としては、Asian-Pacific Society of Respirologyの主要参加国から、中国、韓国、シンガポール、香港、オーストラリア、インドネシアの代表的呼吸器研究者を招請し、各国および地域におけるCOPDとα1AT欠損症の疫学調査に関するワークショップを開催した。ワークショップにおいてはCOPDに関する罹患率、死亡率、喫煙率などの各国のデータを報告しあったが、ほとんどの地域で十分な疫学調査がなされていないのが実状であった。すなわち、中国やシンガポールでのCOPD罹患率は3.2〜3.5%、インドネシア東ジャワでは13.5%との報告があったが、他の参加国からは提示されなかった。喫煙がCOPD発症の最大の危険因子であるとする認識は共通していたが、COPDの死亡率や入院比では喫煙率比から予想される割合より女性に多い傾向が認められ、女性の喫煙感受性が高い可能性が示唆された。α1AT欠損症に関しては、日本ではZ型欠損亜型は検出されないがSiiyama型欠損亜型が10家系(85%)と高頻度であることが報告されたが、日本以外では症例の報告はなかった。なぜ欧米に多いZ型欠損亜型は日本では検出されず、かわりにSiiyama欠損型亜型が多いのかに関し、Ala^<213>/Val^<213>の遺伝子頻度の差により説明しようとするGene evolution hypothesisが提示された。各国でCOPDに関する疫学調査や研究が現在進行中である地域が多く、今後は財政面での問題点が克服されれば2年後に再度開催し、改めて調査結果を報告しあうこと、APSR地域におけるα1AT欠損症の理解の普及とレジストリー確立の必要性、アジア系民族のα1AT遺伝子多型性調査共同研究、共通のCOPD診断ガイドラインの統一の必要性、などを討議した。
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