2004 Fiscal Year Annual Research Report
元素科学:元素の特性を活かした有機・無機構造体の構築
Project/Area Number |
12CE2005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉尾 皓平 京都大学, 化学研究所, 教授 (60026218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70068138)
時任 宣博 京都大学, 化学研究所, 教授 (90197864)
横尾 俊信 京都大学, 化学研究所, 教授 (90158353)
清水 正毅 京都大学, 工学研究所, 教授 (10272709)
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Keywords | オリゴシラン / コンフォメーション / 分子手術 / 開口フラーレン / 高圧合成 / 9-シラフェナントレン / Ge : SiO_2 / カルベノイド |
Research Abstract |
典型元素の特性を活かしたシグマおよびパイ共役電子系の機能修飾:オリゴシランのコンホメーションをシグマ共役の拡張に最適な完全オールアンチ構造に制御するための構成単位として,双環構造を有するトリシランを新たに開発,合成した。紫外吸収,磁気円二色性(MCD)スペクトル測定の結果から,主鎖が強固に完全オールアンチに固定されていることが明らかとなった。また,新たなシグマ-パイ共役電子系の構築の一環として,オリゴシランにポルフィリンやC_<60>を導入した分子群を合成し,ケイ素鎖を介したエネルギー移動および電子移動特性について評価した。その結果,ケイ素鎖長依存性等が観測され,オリゴシラン鎖のナノワイヤーとしての応用の可能性を見いだした。(玉尾) 水素内包フラーレンの有機化学的合成:分子手術法と呼ぶべき有機合成の手法によって、水素分子を内包したフラーレンの合成に初めて成功した。すなわちフラーレンC60の表面に開口部を設け、さらにこの開口部を拡大して、その部分から水素分子を100%導入、その後、水素分子を内部に保持したまま開口部を徐々に縮小し、最終的にこれを完全に閉じることによって水素内包フラーレンを一挙に100mg以上人工的に合成した。これは、従来のアーク放電法や高圧高温法という物理的手法によって、金属や希ガスを内包したフラーレンが辛うじて数mg製造できるという現状を大いに改善するものであり、同研究分野の今後の発展を促すものと期待される。(小松) 新規層状コバルト酸化物SrCo_6O_<11>の磁気輸送特性:我々は新規層状コバルト酸化物SrCo_6O_<11>を高圧合成法によって発見し、その特異な磁気輸送特性について研究を進めてきた。SrCo_6O_<11>の結晶構造はc軸方向に積層したカゴメ格子状のCo(1)_3O_8層と、その間に挟まれたCo(2)_2O_9面共有八面体ダイマー及びCo(3)O_5三角両錐からなる。この化合物の磁化は非常に異方的であり、磁気転移温度以下では飽和磁化の1/3の大きさのプラトーを持つ。また全温度領域において金属的電気伝導度を示し、1/3磁化プラトーの出現・消失と同時に非常に急峻で大きな負の磁気抵抗効果を示す。このような特異な磁気輸送特性の発現メカニズムは非常に興味深い。現在、中性子回折実験や各種磁気輸送特性の測定の他、置換試料の作製などの研究を進めてい
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る。(高野) 新規含高周期14族元素芳香族化合物の合成とその性質の解明:独自に開発したかさ高い置換基を活用した速度論的安定化の手法により,新規な含高周期14族元素芳香族化学種である9-シラフェナントレンおよび9-ゲルマアントラセンを安定な化学種として合成することに世界で初めて成功した。そして,これらの新規化学種について各種スペクトルの測定,X線結晶構造解析および理論計算を行い,その結果を既に我々がその合成・単離に成功したベンゼンおよびナフタレンのケイ素およびゲルマニウム類縁体や9-シラアントラセンの系で得られた結果と系統的に比較検討することにより,含高周期14族元素芳香族化合物が対応する芳香族炭化水素と同様に高い芳香族性を有していることを明らかにした。また,9-シラフェナントレンの紫外可視吸収スペクトルにおいては,対応する炭素類縁体の場合と同様に,最も長波長側の吸収極大が9-シラアントラセンのそれよりも短波長側に観測されることも明らかにした。(時任) Ge含有シリカガラス薄膜の光誘起屈折率変化:光ファイバに用いられるGeO_2-SiO_2ガラスは、紫外光照射により正の屈折率変化(Δn)を誘起することができる。XeF excimer laserによるGe^<2+>(=Ge:)の選択的励起実験により、構造変化の主な反応活性中心がGe^<2+>であることを明かにした。また、MO計算によりGe^<2+>近傍の構造がこの光化学反応に大きく関与していることがわかった。さらに、channel型導波路の作製、及び導波路グレーティング、Y分岐型導波路の作製を行った。導波路グレーティングをポーリングし二次の非線形性を賦与することにより、ポッケルス効果を介した電圧駆動型のアクティブ導波路グレーティングの導波路作製に成功した。(横尾) トリフルオロメチル基置換有機金属反応剤の開発と合成的利用:フッ素の特異な性質は特徴的生理活性や優れた材料特性を発現する有機分子の創出に欠かせない。檜山らは,市販の3,3-ジクロロ-1,1-1-トリフルオロプロパノンから出発して2,3-二置換2-リチオ-3-トリフルオロメチルオキシランを高立体選択的に生成させ,求電子剤で捕捉することにより,対応するトリフルオロメチル基含有四置換オキシランを立体選択的に得た。上記リチオオキシランを有機ホウ素反応剤で処理すると,トリフルオロメチル基置換四置換アルケンをほぼ単一立体異性体として得ることができる。このアルケニルホウ素反応剤とヨウ化アリールと交差カップリングさせて,トリフルオロメチル基置換トリアリールエテンを簡便に合成する方法を確立してタモキシフェンのフッ素アナログであるパノミフェンを合成した。(清水) Less
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Discovery of a ‘Checkerboard' Electronic Crystal State in Lightly Hole-Doped Ca_<2・x>Na_xCuO_2Cl_2.2004
Author(s)
Hanaguri, T., Lupien, C., Kohsaka, Y., Lee.D.-H., Azuma, M., Takano, M.
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Journal Title
Nature 430
Pages: 1001-1004
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