2012 Fiscal Year Annual Research Report
光刺激誘起ゲスト吸着機能を有する光応答性多孔性配位高分子
Project/Area Number |
12F02037
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KANOO Prakash 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
|
Keywords | 多孔性配位高分子 / 細孔 / 光刺激 / 吸着 / 多孔性金属錯体 |
Research Abstract |
金属イオンと有機配位子によって構築される配位高分子のうち、内部に均一なミクロ孔を有する多孔性配位高分子(以下PCP)は、新しい多孔性物質として近年世界中で爆発的に研究が進んでいる。受け入れ研究者は1997年にPCPを初めて発見して以来、新しいPCPの合成とその内部空間を用いた科学の発展に注力してきた。PCPは(1)有機配位子の特性を利用して細孔空間の化学的および物理的性質を変化させられる事と、(2)結晶性の非常に柔らかな構造体を構築できるという2つの特徴を有している。これまでに、(1)の特徴を活かし、PCPの細孔空間にアセチレン分子を通常の爆発限界の200倍以上の密度に濃縮可能である事を証明した。また、(2)の構造柔軟性を活かし、細孔に存在する陰イオン交換によって、細孔構造を様々に変化させ、吸着特性を自在に変化させられる事を示した。本研究課題ではこのPCPの2つの特徴を1つのフレームワークに組み込み、その特徴を有機的に結び付けた新しいタイプの機能性PCPの合成を目標に掲げ研究を実施した。すなわち、外部刺激(特に光)に応答して、性質や分子構造が変化する有機配位子をフレームワークに組み込み、その有機分子の変化によって空間構造が柔軟に変化可能な"応答型細孔"を有するPCPを創製し、新しい多孔性機能の実現を目的に研究を行った。本年度は光刺激に応答できるモジュール分子の合成に取り組んだ。具体的には安定ラジカルを発生可能なモジュールを有する配位子の合成に取り組み、ピリジル基、カルボキシル基などの配位サイトの組み合わせを変化させたものを合成した。配位子のそのもの光照射下での構造変化や赤外吸収スペクトルの変化を温度を変化させながら詳細に検討するとともに、構造変化の大きさや、安定性などの評価を行った。また、これらの有機配位子を用いた新しいPCPの合成にも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた有機配位子よりも多くの有機配位子の合成に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに、合成、選別を行った光刺激応答型配位子を用いて、多孔性配向分子の合成を行う。合成は、亜鉛や銀などを用いてフレームワークを構築し、錯体自体が可視領域吸収を持たないものを選択し合成する。種々合成したサンプルを通常の吸着および熱重量分析から安定な多孔性配向分子の構築を選別し、光照射による吸着制御の実験へとフェーズを移す。ラジカル種を発生可能な多孔性配位高分子では主に、酸素で実験を行い、より安定な窒素や水素などを微少量認識してトラップできるかどうかの検討を行う。2+2光環化反応を示す多孔性配向分子は大量分離を施行した二酸化炭素・メタンの混合ガス気体の選択的分離実験を行い、光によるガス吸着分離を目的とした実験を推し進める。
|
Research Products
(2 results)