2012 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な分散暗号方式と安全なデータ保存アウトソーシングへの応用
Project/Area Number |
12F02045
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 剛 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHU Youwen 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 暗号・認証 / プライバシ保護 / 分散秘匿計算 / 高速実装 / 暗号プロトコル |
Research Abstract |
本研究課題では、効率的な分散暗号方式と安全なデータ保存アウトソーシングへの応用をテーマとした研究を行う。分散秘匿計算は,秘密鍵を有する複数の参加者が,加算や乗算などの暗号基本演算を互いの秘密鍵を秘匿した状態で分散計算する方式である。分散ネットワークで、秘密鍵の秘匿状態を保ったまま分散計算可能であり、クラウドコンピューティングなど高いプライバシが要求されるアプリケーションへの応用が可能な方式である。本年度は、On-line Analytic Procbssing(OLAP)を利用して質問者に対する回答を回答者のプライバシを保護した状態にて集計できる方式を考察した。特に、同じプライバシ問題に対してデータを水平方向および垂直方向の両方で分割可能とする形で拡張し、入力データ長に対して線形計算時間で計算可能な方式を提案した。また、秘匿分散計算の基本的なプロトコルとして内積計算(スカラー積)がある。偶数次元の場合に、計算処理の比較的大きな準同型暗号や第三者を利用しないEven-Dimension Scalar Product Protocol(EDSPP)を提案した。現在までに知られている6種類の関連方式に対して安全性と処理速度を比較したところ、提案EDSPPは最も高速かつfairnessを有する方式となった。また、EDSPPの分散秘匿計算の応用として、3点Pl,P2,Qの座標情報を秘匿にした状態で、線分QP1,QP2の長さの大小を比較判定する秘匿計算プロトコルを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、効率的な分散秘匿計算に関して査読付き論文2編および学会発表2件を行った。特に、OLAPを利用した質問集計の秘匿計算方法や効率的な秘匿内積計算を利用した距離比較プロトコルなどを提案した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の課題として、プライバシ保護を考慮した分散秘匿計算をクラウドコンピューティングに応用する研究を継続して行っていく計画である。特に、計算を外部に対して安全に委託する暗号方式(Secure Outsourced Cryptographic Computing)を考察し、本年度の提案方式を拡張する形で、格子を利用した完全準同型暗号や順序保存暗号を用いた分散秘匿計算を考察し、利用ユーザの秘密情報を保護できるリモートデータ保存方式を研究する予定である。
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Research Products
(5 results)