2012 Fiscal Year Annual Research Report
熱処理の導入による下水汚泥と生ごみの混合メタン発酵の効率化
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12F02053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 玉友 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QIAO Wei 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 再生エネルギー / バイオマス / メタン発酵 / バイオガス / 余剰汚泥 / 食品廃棄物 / 膜分離 / コーヒーかす |
Research Abstract |
本研究は、嫌気性微生物による分解作用を利用することによって下水汚泥と食品廃棄物などの廃棄物系バイオマスからバイオガスを効率よく回収するバイオマス利活用・再生エネルギー生産のための技術開発である。具体的には、嫌気性分解の促進方法として膜分離型反応槽と熱処理を導入し、その最適な操作条件およびその装置化を検討したとともに、余剰汚泥と食品廃棄物のメタン発酵特性を解析し、[膜分離+嫌気性消化]の最適な組合せを研究することで、新規の高効率システムを確立しようとするものである。平成24年度は、(1)回分実験による食品廃棄物コーヒーかすのメタン生成ポテンシャルの把握、(2)膜分離メタン発酵法を用いたコーヒーかすの連続実験、(3)余剰汚泥とコーヒーかすの混合発酵による促進効果の検討の3つの課題に取り組み、次のような実績があった。 (1)回分実験によるメタン生成ポテンシャルの把握 高温振動培養器とバイアルを用いて高温条件でメタン発酵の回分実験を行った。コーヒーかすの粒径を0.2mmから1.1mmに変化させても分解率は約80%で、粒径の影響はほとんど見られなかった。バイオガス生成ポテンシャルは510mLBiogas/g-COD、メタン生成ポテンシャルは290mLCH4/g-COD程度が確認された。 (2)膜分離メタン発酵法を用いたコーヒーかすの連続実験 典型的食品廃棄物であるコーヒーかすについて高温メタン発酵の連続実験を行った。その結果、コーヒーかす単独のメタン発酵にはアルカリ剤と栄養塩の添加が必要であることが確認された。その添加量と効果を把握した。 (3)余剰汚泥とコーヒーかすの混合発酵による促進効果の検討 栄養塩が豊富に含まれている余剰活性汚泥をコーヒーかすのメタン発酵の促進剤として混合させて連続実験を通してその混合発酵の効果を確認した。投入TS濃度15%,コーヒーかす対余剰活性汚泥の比率が85:15の条件で安定運転を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第1の目的は、嫌気性微生物による分解作用を利用することによって下水汚泥と食品廃棄物などの廃棄物系バイオマスからバイオガスを効率よく回収するバイオマス利活用・再生エネルギー生産のための技術を開発することである。本年度は食品廃棄物の代表としてコーヒーかすを、また下水汚泥の代表として余剰汚泥を選び、回分実験と連続実験を実施し、重要な結果を出すことができた。今年度は熱処理の代わりに高温発酵、膜分離および混合発酵といった効率化の手段について評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)混合メタン発酵技術の確立、 H24年度の研究成果を踏まえ、食品廃棄物に適した混合メタン発酵の条件を選定して、連続実験装置でシステムの検証実験を行う。実験対象は可溶化液、余剰汚泥、コーヒーかす、茶かすおよびその混合物である。一連の実験において有機物の変換率、バイオガス生成量、残渣の脱水性などを把握するとともに、メタン発酵槽における微生物の群集構造と運転の安定性について解析を行う。 (2)物質収支やエネルギー収支を含めたシステムの総合評価 連続実験の結果を踏まえ、余剰汚泥可溶化液、コーヒーかすおよび両者の混合物を処理する場合の物質収支、エネルギー収支を解析して、開発した新しいシステムに対する総合評価を行う。
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Research Products
(4 results)