2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02057
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
種村 眞幸 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHOSH Pradip 名古屋工業大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 透明電極 / フレキシブル / イオン照射 / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
携帯電話、薄型テレビに代表されるように、透明電極は我々の生活には不可欠の存在である。現状では、透明導電膜と言えばIndium Tin Oxide(ITO)膜である。しかしながらこのITO膜は、フレキシブル基板上ではクラック等が入ってしまうためその性能を維持することができない。また、ITO膜は希少金属(インジウム)を含むことから、代替となる、希少金属を含まない透明導電膜(透明電極)の開発は焦眉の急である。本研究は、ナノ構造を有する透明フレキシブル基板上にカーボンナノチューブ(CNT)等を規則的に配列させることで、透明性と良導性を併せ持つ新たな透明電極の開発を目的としている。本年度の具体的成果は以下の通りである。 ナノ構造の形成には、固体への低速(600eV)イオン照射(イオン照射法)を用いた。試料には透明でフレキシブルな基板であり、イオン照射によるナノ構造形成が極めて容易なナフィオンを用いた。イオン種には稀ガスイオン種を用いた。何れのイオン種でも、垂直に近い入射角度(低イオン入射角)では円錐状の突起群が形成されており、斜めイオン照射(高イオン入射角)では、wrinkle構造群(リップル(さざ波)状のナノ構造群)が形成された。軽イオン種では低イオン入射角でのwrinkle構造の形成が可能であった。 Ar、Xeイオン照射の場合、何れの照射条件でも、可視光範囲全域で90%以上の高い透過率が得られた。 一方、Neイオン照射試料では、円錐状突起形状表面では光の散乱が増加することから透過率が低く、斜め入射のwrinkle構造で90%を超える透過率が達成できることが明らかにされた。現在、これらの基板を利用した単層CNTの整列実験に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の事項が概ね実施でき、ナノ構造のサイズ制御が可能となったことから。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実験を継続し、より広い範囲でのナノ構造のサイズ、周期の制御を行うと共に、それらナノ構造基板への単層CNT等の分散、配列制御を行い、希少金属を含まない透明導電膜の開発を行う。単層CNTの配列制御には、従来の様に、溶液にCNTを分散させノズルから漫然と散布するだけではなく、ガス(N2)流量、wrinkle構造に対する吹き付け角度等の地道な吹き付けパラメータの制御が必要となる。この点にも留意し技術確立を行う。
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Research Products
(4 results)