2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造体のマルチスケール・モデリングとシミュレーション
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12F02058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Jie 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マルチスケール / ナノ構造 / 強誘電体 / Phase Field |
Research Abstract |
セラミックス材料の強誘電特性は、遠距離力と短距離力のバランスに起因して発生する結晶格子内の内部変位によって生じる。このため、強誘電特性への構造体形状による影響を厳密に把握するためには、量子力学に基づく精度の高い解析が不可欠である。一方、これらのシミュレーションでは解析できる原子数に制約があり、工学的に重要となるモデルの多くについては解析が不可能である。とくに、ドメインや表面の効果については大域的な評価が重要である。本研究では、大領域の解析が可能であるフェーズフィールド等の連続体解析手法と精密な解析が可能である第一原理・古典分子動力学法を融合した、強誘電材料に対するマルチスケール解析法を研究することが目的である。 本年度は、モデリングおよびシミュレーションを実施するため計算装置を導入し、効率的な並列計算のための調整・最適化を実施した。さらに、第一原理解析のプログラムを導入した計算機用にチューニングを行った。解析方法としてProjector-Augmented Wave(PAW)法を導入することによって、代表的な強誘電体PbTiO3に対して十分な解析精度を確保すると同時に、計算の高速化を行った。本手法を用いて、ナノ構造体のマルチスケール・モデリングに必要な特性評価を行った。強誘電体ナノドットの分極構造を評価したところ、マクロ材とは異なる渦状分極構造を形成することが分かった。さらに、この渦状分極はマクロ材と比べて優れた電場応答特性を示すことを明らかにした。また、マルチスケールモデルの高度化を目指し、多結晶の強誘電体や磁性体への拡張を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の予定である、第一原理プログラムと計算システムの構築、計算精度の確認、マルチスケール・モデリングに必要な特性評価、は全て実施済みであり、研究は当初計画通りに順調に進行している。また、次年度の解析に向け、計算プログラムの並列化などの準備も行っている。また、投稿論文についても掲載が決定しているものの他に、3報が投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ナノチューブ、ナノ、ドット、ナノワイヤーなどのナノ構造体の様々な力学的・電気的条件下における強誘電性分布について計算機シミュレーションに基づく解析を行う予定である。さらに、ナノ構造体中のドメイン・スイッチングの特性や機構についての研究を実施する。このような比較的大規模なモデルの計算を行うためにプログラムの並列化を行っており、次年度購入予定の増設計算機によって解析実施は十分に可能であると確信している。
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Research Products
(5 results)