2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ナノドットフェライト薄膜の高密度磁気記録用パターン化媒体への応用
Project/Area Number |
12F02062
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森迫 昭光 信州大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIRSATH S.E. 信州大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 六方晶フェライト / パターン化媒体 / 金ナノドット / スパッタリング / 酸化物磁性体 / 高密度磁気記録 / 自己組織化 / 電波吸収体 |
Research Abstract |
本研究では、六方晶フェライト薄膜の応用に関して、その極薄領域薄膜では、金の自己組織化下地層を用いた超高密度垂直磁気記録用パターン媒体の基礎的研究を行った。金下地層、特に金ナノドットを形成した場合、ナノドットでは基板加熱のための赤外線を吸収し高温になり、ドットのない部分では赤外線は透過(ガラス基板の場合)温度上昇が少ない。すなわち金ドット上では昇温が容易であり、フェライトの結晶化を選択的にできる。これによって自己組織化的に高密度記録が可能なパターン化媒体を形成しようとするものである。本研究では、金ナノドットの形成条件を詳細に検討している。スパッタ法を用いた場合、ガス圧、基板温度など種々の形成条件によって形成される薄膜の構造は変化する。ここでは基板温度を変化することにより、形成される金ドット構造を明らかにした。一般に基板温度を上昇すると、付着粒子の移動度が活性化され各密度が低くなり、粒子サイズは大きくなる。しかし金薄膜の場合、室温で形成すると微小クラックの入った連続構造となるが、100度付近で18nm程度のナノドットが形成されることが明らかになった。更に高温ではドット径は増加する結果になっている。この金下地層上にストロンチウムフェライト層を基板温度500℃前後で形成すると、磁気力顕微鏡ではドット状の磁区が観察される。またTEMで断面構造を観察すると、金ドット上では六方晶フェライトの格子像が、そして金ドットの無い部分では何も観察されず、非晶質状態であることが明らかになった。今後金ナノドット規則配列化条件の最適化が重要であり、薄膜形成時のバイアス電圧等を詳細に検討する必要がある。 電波吸収体としての厚膜に関しては、スプレイコーティング法により、Y型フェロックスプレーの形成を確認している。実際の電波吸収特性に関してはまだ行っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電波吸収体に関する研究がやや遅れているが、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
パターン化媒体において、金ドット上のみ選択的に結晶化(磁性体化)することには、成功している。今後はパターン化媒体で重要な磁性体の規則配列化、換言すれば金ナノドット下地の規則配列化が最も重要である。スパッタ粒子の帯電によるクーロン斥力によって規則配列化が可能かどうかを検討したい。
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