Research Abstract |
本研究は,橋梁鋼構造物の局部座屈および極低サイクル疲労を統一的に照査できる手法の開発を目的としたものである.そのために,極低サイクル疲労に対する照査法は未整備である現状を踏まえ,極低サイクル疲労による延性き裂の発生・進展・破壊のメカニズムの解明を解析および実験の両面から重点的に検討している.平成24年度では,研究計画の通り,延性き裂の発生・進展・破壊の全過程を模擬できるCDDモデル(Cyclic Ductile Damage Model)の開発と解析手法の確立について検討した.また,鋼部材の極低サイクル疲労実験を実施し,解析モデルと手法の妥当性について検証した.まず,き裂の発生を予測する幾つかのDamageモデル(Local Model)の相互比較を行った.特に,メッシュサイズ(0.1,0.5,1および2mm)が予測精度に及ぼす影響を明らかにした.次に,前述の検討結果を踏まえ,メッシュサイズに依存しないNonlocal Modelを構築した.さらに,極低サイクル疲労実験を実施し,提案したNonlocal Modelの妥当性を検証している.また,き裂の進展・破壊も模擬できるCyclic Ductile Damage Modelを開発している.このモデルでは,大ひずみ時の材料特性の考慮,延性損傷の判定基準の確立,剛性低下と損傷累積の評価および延性破壊箇所の除去法の提案について検討し,鋼製橋脚およびブレース部材を対象とした3次元弾塑性有限要素解析を実施し,極低サイクル疲労による延性き裂の発生と進展を予測できるようになっている.これらの成果を現在まとめており,学術誌などへ投稿する予定である.
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