2012 Fiscal Year Annual Research Report
計算流体力学と伝熱学の融合による熱電発電システム設計
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12F02077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 亮輔 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MENG XiangNing 北海道大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 熱電発電 / 伝熱現象 / 熱交換機 / 直流発電 / 国際情報交換 / 計算機シミュレーション / 熱流体 / 連続鋳造 |
Research Abstract |
熱電変換素子を通じた熱伝達により減少する温度差を、熱流体により大きく保ち、熱電発電出力を増強する方策を検討する。従来温度差は一定であると仮定されることが多く、現実の熱電発電量を定量的に予測できなかった。熱電モジュールの両端に向流を流して最適な温度差を定常的に得る一例として、冷却水と高温廃熱風を用い工場廃熱を回収するシステムを設計している。折り返しのある新しい熱流体回路を設計しその出力を予測する計算を行っている。最終的な目標は二重複螺旋型向流発電機として熱電発電を実現するために必要なこの設計に挑戦している。 孟は螺旋流と直線的な流れを比較するため、有限要素法でpn対を含むモジュールの熱電現象を表現したモデルを準備し、数値的にその出力を計算した。二つの流れが熱電現象に与える相違はほとんど認められないが、曲率が著しい場合に相違が認められた。均質である熱電素子の内部に高い伝熱部と高い電流密度を有する部分が局在する。電流は湾曲したモジュール内部を3次元空間の直線的に優先して進むのに比べ、熱伝導はz軸に平行に流れるためであろうと推測している。現在、この考え方を立証すべく、曲率の異なるモデルを準備しているので、間もなく新しい複螺旋型向流発電機の特質を一般化して述べる段階に至ると考えている。この成果は2013年3月および6月の国際会議で発表する。この考え方が正しいならば今後の熱電変換素子設計に新しい概念を生み出すと期待できる。 一方、鈴木は流体配管を試作して熱流体の挙動を測定し計算機シミュレーションの精度の向上を図る予定である。計算では求めることができない量である熱伝達係数、流体密度、送水圧力などを調べて計算に反映させる予定であり、また計算から得られた設計を実験で試す準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
孟氏は8月来日で2012年は予想通り孟氏担当分は成果は少ない。しかし研究チームの事情を理解し、また北大が独自に組み込んでいる計算ソフトの内容を理解できるようになって、極めて迅速にモデル計算の一連の流れが組み立てられている。鈴木が思いついた二重螺旋構造の優秀性が、伝熱の専門家の孟氏により初めて実証できそうなので安堵している。熱電変換だけでなく連続鋳造にも適用できることがわかり、来年度は多方面に展開できそうであるし、枝葉に広がりが出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究課題の変更は不要である。現在準備しているモデルの計算が順調に進めば、新しい概念として二重螺旋構造の優秀性を順調に提示できる。パソコンのメモリが予想以上に必要であることが判明したので、パソコンを新機種でかつ大きな容量のメモリを搭載したものに交換したところである。来年度は大型計算機の利用も考慮している。現在有している伝熱工学のソフトが5ライセンスでは計算速度不足の事態が生じる可能性があり、予算を考慮しながらライセンス数を増やすことを考慮する。
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