2013 Fiscal Year Annual Research Report
イネの紫外線B(UV-B)特異的反応に関与するシグナル伝達因子の同定と機能解析
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12F02081
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
飯野 盛利 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIANG Lei 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / 紫外線B / 受容体 |
Research Abstract |
ムラサキイネを用いた代表者らの先行研究により、イネは紫外線B(UV-B)に特異的な光反応(アントシアニン蓄積反応)を示すことが明らかにされた。また、突然変異体分離の研究から、UV-B特異的な反応の存在が遺伝的に示された。本研究は、このUV-B特異的な光反応のシグナル伝達機構を明らかにする目的で計画された。昨年度までの研究により、ニホンバレなどのジャポニカイネの幼葉鞘は紫外線B(UV-B)に特異的な(青色光では起こらない)成長抑制反応を示すことを明らかにし、ジャポニカイネで観測されるこの反応はインディカイネでは起こらない(あるいは顕著に低下している)ことを見出した。本年度は、このジャポニカイネとインディカイネの違いに着目した研究を進展させた。前年度からの染色体断片置換系統を用いたQTL解析を継続し、ジャポニカイネとインディカイネのUV-B反応性の違いの原因になる遺伝子は染色体1と12に座位することを示す結果を得た。更に詳細な染色体断片置換系統を入手し、それらの系統の種子を増やして遺伝子座を絞り込むための解析を開始した。本年度はさらに、UV-Bパルス照射により発現制御を受ける遺伝子のマイクロアレイ解析を行った。この解析により、UV-Bで敏速かつ顕著に制御される遺伝子(ほとんどは未解析遺伝子)を特定した。現在、それらの遺伝子のうち、UV-Bに特異的なもの(青色光の影響を受けないもの)を選抜するための解析を進めている。さらに、それらの遺伝子のうち、インディカイネでは発現制御を受けないものを同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紫外線Bに対する反応性がジャポニカイネとインディカイネでは顕著に異なることを発見し、この発見に基づいて、新たな研究の発展がもたらされた。
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Strategy for Future Research Activity |
ジャポニカイネとインディカイネの違いに基づく研究を進展させる。染色体断片置換系統を用いたQTL解析では置換系統の種子を増やす必要があるため、研究に時間を要するという問題が生じた。一方、マイクロアレイ解析により、紫外線Bで敏速かつ顕著に発現が制御される遺伝子を選抜することができたので、これらの遺伝子に着目した研究において成果が見込める。今後は、紫外線B特異的な遺伝子グループの同定、およびジャポニカイネとインディカイネで反応性が異なる遺伝子グループの同定に力を入れる。
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Research Products
(1 results)