2012 Fiscal Year Annual Research Report
イネの開花時の高温ストレス適応に関する集団遺伝学的研究
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12F02086
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松井 勤 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAZIB Tanveer 岐阜大学, 応用生物科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 温暖化 / イネ / 高温不稔 / 葯の裂開 |
Research Abstract |
地球温暖化の進行に伴い,温帯を含む世界の各地でイネの高温不稔の頻発が懸念されている.育種による高温耐性の向上は温暖化対策として有効である.イネの高温耐性には葯の裂開特性がかかわっており,葯の基部と頂部に形成される裂開が大きいほど高温条件下における受粉が安定し耐性が強くなることが明らかにされている.そこで,本年度は,葯基部の裂開の大きさの決定に関する遺伝子座の位置および裂開の大きさが決定される仕組みを明らかにすることを目的とし,日本晴/カサラースの戻し交雑自殖系統群を対象に,葯の裂開特性についてQTL解析を行った. 解析の結果,葯長,葯頂部の裂開,基部の裂開ついて,それぞれ,5,3,3個のQTLを検出した.これらのQTLは,葯長,葯頂部の裂開,基部の裂開の変異の28-46,13-32,16-27%をそれぞれ説明した.また,それぞれの形質について,4,3,6個のエピスタティックに作用する遺伝子座のペアが検出された.戻し交雑自殖系統群で検出されたQTLの効果を日本晴/カサラースの染色体断片置換系統群(CSSLs)で検討したところ,多くのQTLでその効果を確認することができた.これらの結果は,今回の実験で検出されたQTLを利用して葯長や葯の裂開長を育種的にコントロールすることが可能であることを示している. 現在,さらに詳しいマッピングを行うために,日本晴と比較して葯の裂開長が有意に異なるCSSLsを対象に,日本晴の戻し交雑を行い,F2の形質調査を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りQTLの解析が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
日本晴/カサラースのBILsの葯の裂開に関する形質及びそのQTL解析の結果に年次変動が確認された.そこで,人工気象器内の高温条件で,葯の裂開特性に関するQTL解析を行い,高温条件下におけるQTLの効果を確認する実験を当初予定していた,葯の形態形成・裂開特性に関するマイクロアレイ解析と並行して行う.
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Research Products
(1 results)